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SDGsコンソーシアム 

京大の先生と考えるSDGs

2020年3月12日、 皆様が寄贈くださった、眠っている「ぬいぐるみ」たちを使って、 協賛企業様の協力の元、 京都大学にて SDGsの巨大オブジェを制作しました。(FBはこちら

その様子を京都芸術大学の岡本智博様がドキュメンタリー風動画に仕上げていただきました。是非こちらからご覧ください

→ https://www.youtube.com/watch?v=BCEbjLr84sk

眠りから覚めた「ぬいぐるみ」たちは、SDGsを発信するオブジェの一員となり、様々な場所を巡回後、主にリユース販売され、再び新しい個人や家族のもとで使われるように、つないでいきます。以下経過報告となります。

 

3/25 安田産業様より発送、3/27 ecommit様 東京営業所へ到着。

京都での投入量が277kg中、

モニュメントに使われなかったぬいぐるみ+他プラおもちゃ  146kg

モニュメントに使われたぬいぐるみ総重量(計算値) 131kg

 

多くの物が、大量生産・大量消費・大量廃棄・大量リサイクルされてきましたが、まだまだ価値のある「もったいない」ものも多々あります。今回のぬいぐるみ回収が、様々なリユース(再使用)行動のきっかけにもなればと考えています。なお、2020年7月に延期した京大プラ博に向けて、改めてぬいぐるみ回収も実施予定ですので、心当たりのある方は、是非ご参加ください。

 

ほとんど0円大学での取材も、アップされています。

 


環境省は持続可能な社会づくりへの主体的な参加と循環と共生という観点で、学校教育における体験活動を広く募集してました。
そこで今回、京都大学と共に取り組んだ 安朱小学校、 京都大学や地元企業など の産学公連携チーム「京都丹波スマート環境教育推進プラットホーム」と取り組んだ亀岡市、南丹市、京丹波町の小学校の活動が優良事例としてHPに紹介されました。
優良事例のポイントとして、 学校・地域・家庭が連携 した取組を進めていること、「環境」、「教育」、「持続可能な地域共生」の3つの価値を創出する「一石三鳥」の 環境学習推進事業であること、SDGs をメインテーマとして、地域の持 続可能性についても学習する機会となっていることなどが評価されました。
また、『京都府環境白書(令和元年度版)』が発行され、以下のホームページにも記事が掲載されております。
 ◆「京都府環境白書」 令和元年度版
http://www.pref.kyoto.jp/kankyo_haku/hakusyo01.html
※第1部のニュースフラッシュに掲載されています。


カレーパーティーの様子

 

完成したカレー

(左から2120スープカレー、節約京野菜カレー、ハラールカレー)

 

 

京都大学では、高校生向けの「体験型学習講座」としてELCASを実施しています。本年度、浅利美鈴准教授(地球環境学堂)は、「持続可能なSDGsカレーの開発」と題した講座を実施しました。この講座は、カレーという身近な題材を用いて様々な切り口からSDGsへのつながりを考えることで、SDGsに親しみ行動してもらうことを目的としています。

 

第1回(10月19日)は、参加した9人の高校生と自己紹介をしたあと、まずはSDGsについて奥野さん(農2)にレクチャーをしてもらいました。SDGsについて少し聞いたことがある生徒もいれば、初めて聞き全く分からない生徒もいた中で、みなこれから取り組んでいくSDGsの説明を一生懸命に聞いていました。その後、上田(工3)から、カレーの調理後の後始末で不可欠な洗剤(せっけん)についてのレクチャーを行いました。また、グループワークとして、実際に天然素材のせっけん(米ぬかせっけん、固形せっけん、プリン状せっけん)を作成しました。

 

完成した米ぬかせっけん    固形石鹸の作成の様子

 

第2回(11月2日)は、1回目の宿題であった「1日1SDGs」の発表をし、SDGsの各ゴールとカレーの関連を探すワークを実施しました。ここでは、食材の調達、調理そして片付けまでカレーに関するすべての工程の中からSDGsへの関係性を考えてもらいました。高校生のみならず、浅利先生、大学生、留学生を入れた計17人が考えた17ゴール分のキーワードがその後のグループ分けに大きく関わってきます。このワークの後には、西本さん(農2)からプラスチックのレクチャーがあり、エコ~るど京大で実施している「#かばんの中のプラ」も実際にしてもらいました。

 

第3回(11月19日)は、山田さん(農2)から食と持続可能性についてのレクチャーを受けた後、第2回のキーワードを分類した3つの班に分かれてもらいました。3つの班は「食材班」「調理班」「パーティー班」として、それぞれ使用する食材、調理の過程、カレーパーティーの際の工夫という観点からSDGsを達成しているカレーの開発を始めてもらいました。この回では、分類した前回のキーワードを調べることで、SDGsとの関係をより深く理解してもらうとともに、実際にウェブを使用して調べものをする上でのメディアリテラシーを学んでもらいました。調べた情報をもとに各班コンセプトをもったカレーの素案が完成し、発表するところまでいきました。また、発表後には留学生たちが高校生たちに祖国の料理をふるまってくれ、英語でコミュニケーションを取りながらそれぞれの料理について話をしていました。

 

発表された各班のカレーのコンセプトとその理由

 

第4回(12月7日)は、第5回での調理に向けて前回のコンセプトに合致した具体的なレシピの開発を行いました。途中でお互いのメニューを見せ合い、現時点で達成できているゴールとできていないゴールのすり合わせを行いました。その後、達成できていないゴールをいかにして達成するかを考えながら最終調整をしていました。様々な切り口があるとはいえ、17ゴールすべてをカバーしたカレーのレシピは難しかったようで時間ギリギリまで相談して決めていた様子が印象的でした。最後には第5回のカレーパーティーに向けて、小学生向けの日本語版、留学生向けの英語版の招待状も作成しました。

 

 

第5回(12月21日)は、本調理の日ということで実際にカレーを作りました。家庭科の授業以外で料理をすることがなく、野菜の切り方(特に玉ねぎのみじん切り)が分からないと言っている高校生たちに不安も覚えつつのスタートでした。ただ、班の中で協力しあい、ときには留学生の力も借りつつそれぞれのカレーを調理していき、3つとも美味しそうなカレーに仕上がりました。最後の煮込みの時間中には、招待した小学生や留学生を相手に自分たちのカレーのコンセプトやこだわりを発表してもらいました。実際に3種類のカレーを食べてもらい、最後は第1回で作ったせっけんで皿洗いをして終わるという、最初から最後までSDGsなカレーになったと思います。

 

第6回(1月11日)にELCASの発表に向けたまとめを行いました。各回でしたことを振り返りながら何を学んだかをまとめていました。高校生たちに感想を聞くと、「街中でSDGsがいたるところにあることに気づいた」「必要なプラスチックもあるという話が印象に残っている」「留学生と色々な話ができた」など各回での内容が身についているなという感じがしました。また、議論をすることが多かったので話す機会が多く、仲良くなったという話もありました。その証か、最後はみんなでこたつを囲み作業をしていました。今回のELCASを機に今後もSDGsに取り組む高校生たちになってくれることを祈っています。

 

文責:上田知弥(工学部3回生)


Goal4「質の高い教育をみんなに」

南部 広孝 教授 (教育学研究科)

 

Q南部先生がされている研究について教えてください。

比較教育学という分野の研究をしています。社会の中には考え方や価値観の違いによる境界線が存在しますが、比較教育学は国や社会、文化といった境界線を意識しながら教育について考える分野です。この分野の中でも主に、中国の高等教育について研究しています。また、少し前まで、社会主義体制だった国や現在社会主義体制を採っている国の教育を扱い、民主化など社会のあり方が変わっていく中で、教育のあり方がどう変わっていくかについても研究をしていました。中国の研究が中心ですが、そのほかの国と比較をする中で何か共通の法則が見えないかと研究をしています。最近はこれらのことを中心に大学院教育などもう少し広く比較ができないかと考えています。

今考えていることとしては、社会の中に存在する境界線の引かれ方がどんな風になっているのかということと、それをどんなふうに考えて行ったらいいのかということです。

 

Qこの研究を始められたきっかけを教えてください

中国は大学に入る前から興味がありました。あるテレビ番組で中国の広い平野一面に広がる田園風景を見て、中国にすごく関心を持ちました。教育に関しては、もともと中学か高校の教師になりたいと思っていました。しかし京大に入ったことで、教育そのものについて考えることになったので、昔から興味のあった中国の教育について研究をすることにしました。

もう一つのきっかけとしては、京大に教員として帰ってきたことが大きいと思います。京大の中では色々な先生や、色々なテーマを抱えた院生たちと話をします。話をする中で私も様々なことを考えます。インドやエジプトといった院生が持ってきたテーマを集めて、今は一つのチームでやっています。そうすると、僕が中国を見ていただけでは分からない色々なことが世界中にあることを知り、それらをうまいこと組み合わせると違うものが見えてくるという経験をたくさんします。そうすると中国の研究からもう一つメタなところに上がることができます。このメタなレベルでの話が通じるということは、京大に来た大きなメリットだと思います。僕自身はやりたいと思うことだけをやってきたつもりですが、振り返ると色々なところから刺激を受けて、自分の核はずっと持ったままで、それを少しずつ広げていく経験をさせてもらっていると思っています。

 

Q質の高い教育についてどう思われますか?

教育の質って本当に難しいことだと思います。SDGsやこういったものでは、数値目標を設定するのですが、教育とは数値で測りきれるものではありません。ここでの一つの考え方としては、数値では測れない教育はあるけれど、達成度をはかるために数値で測れるもので勝負するというものです。確かに測り方を工夫すれば、単なる狭い意味での学力だけではなく、考え方や論理的な説明能力などまでは測れるかもしれません。しかし一定のラインを超えてくると、主観的なものにならざるを得ません。そうなってくると数値化すること自体の意味が分からなくなってきます。今のSDGsではこの段階を超えられていないのではないかと考えます。学力などは比較的数値化しやすいと思いますが、学力だけをつけさせれば、それで質が高いと言えるかというと違和感が残ります。

もう少し引いて考えてみると、そもそも学校に行くことはそれほど正しいことなのか、ということもあります。途上国の開発では、学校を建てて子供達を学校に行かせることがプロジェクトになったりします。その一方で日本などの先進国では、学校に行かない子供達に、学校教育ではないような形の教育を受けさせたりしています。つまり先進国の中では学校教育の限界が見えているわけです。学校教育の限界を越えるために何をするか、ということを国内では考えています。その一方で途上国の教育を考える時には、学校をとにかく建てましょうとなります。そこの矛盾に僕はすごく違和感があります。学校にももちろん重要な役割はありますが、学校を建てれば問題が解決すると言う短絡的な発想には賛成しません。学習者一人一人にとって一番いい教育は何かと考えると、必ずしも学校を建てることではないと思います。もちろん学校を建てることでより望ましい学習成果を得られる人が多数いるということは、おそらく正しいことです。そこまでは否定しません。それでも就学率95%を100%にしたことで学習者一人一人が幸せになったのかと言うと、必ずしもそうではありません。質の高い教育という目標に対して設定されている指標を見ると、学習者一人一人にとって質の高いと言うよりも、集団としてどれくらい方向付けられたかと言うところに焦点が置かれているのではないかと感じます。それで質の高い教育と言うのは、少し気持ち悪さがあります。極端に言えば、一人一人にとって質の高い教育が施されることが必要です。それは必ずしも学校教育である必要はないのではないかと考えています。

SDGsの目標の中で言われる質の高い教育とは、質が高い教育と言われるものの中で、みんなで妥協しあって抽出した核の部分だけだと思います。その核も当然何かの価値に裏打ちされているものです。この価値は誰もが納得できるものかと考えると、多くの人のなのか、世界の中で強い人のなのか、といった何かがあるのではないかと思います。みんなと同じようにしてあげることが必ずしもその人を幸せにするとは限らないし、線を引くことで私たちとは違うものとしてしまうのも望ましくないかもしれません。こういった難しさがあります。これらのことは、これから考えていかなければならないことです。

 

Q 新入生に向けて一言お願いします。

たくさん対話をしてほしいです。ここでの対話には二つあります。一つはいろんな人と対話をしてほしいということで、もう一つは本を読んでほしい、本の著者と対話をしてほしいということです。論文ではなく、本です。論文は相当焦点が絞られたことを切り出して、その論点に対して自分が言いたいことを一言述べるというものです。著者と対話するにはそれでは短いと思います。本は一定の長さがあって、何をきっかけにして、何に取り組んで、どんな風に取り組んで、どんな風に考えて、どんな結論を導いたのかという一塊の思考のプロセスが記されています。本は論文とは質が違うものです。最近の学生はネットでお手軽に論文を探しきて、「論文では・・・」とやるのですが、何かを考えるというときに横に置いておくべきものは、論文ではなく本ではないかと思います。そういう意味で本の著者と対話をしてほしいということが一つ目です。

もう一つの色々な人との対話をしてほしいということですが、自分と異質なものと触れてほしいということです。日本国内にも自分と違う人も物もたくさんあると思います。そういうものに対して安易に線を引いて、自分とは違うものとして排除するのではなく、線を飛び越えてみて、何が違うのか、解り合えるものは無いか、どうやったら分かり合えるのかということを考える経験をしてほしいです。社会に出れば、否応なしにそういうことをさせられるか、もしくはそういう人たちと関わらなくなります。大学生の間は比較的時間があって、まだチャレンジをできるチャンスだと思います。だから、自分の周りにあらかじめ線を引くのではなく、もう少しそれを飛び越えるチャレンジをしてもらいたいと思います。

 

 

感想

今回のインタビューでは、「質の高い教育とは」という非常に抽象的な質問に対してお答えいただきました。学校に行くこと自体が正しいかどうかなど、我々の既存の価値観ではなかなか問題視することのなかった観点を提示していただきました。

今回のお話の中で印象に残ったのは「集団として方向付けられる」という言葉です。これは4番の教育だけの問題ではなく、SDGsの17項目全てにおいて当てはまることだと感じました。我々は国連が発表した目標としてSDGsを認識し、世界一般の共通理解としてSDGsの達成を目指そうとしています。しかし、これは国連が作った目標に過ぎず、自分の価値観に近いものとして捉えるのは、如何なものかという考えに至りました。こう言ったことから、SDGsと宗教が似たもののように感じました。宗教の考えを否定するつもりは全くありませんが、宗教を盲信するのと同じく、SDGsを愚直に正しいものと断定するのは危険であるような気がします。教祖が作った経典だから正しいとすることと、国連が発表した目標だから正しいとすることの違いがわからなくなりました。それでもSDGsの根底に存在するものは人間にとって達成すべき共通の課題なのだと思います。SDGsを自分自身の価値観と照らし合わせて考えること、それから他の人の価値観で捉えたSDGsを受け入れること。これらを通じて目指すべきゴールの形を考えていくことが、これから必要なのではないかと感じました。

(山口真広)

 


Goal2「飢餓をゼロに」

梅津 千恵子 教授(農学研究科)

 

農学研究科の梅津千恵子教授に研究の詳細と、持続可能な社会とGoal2「飢餓をゼロに」に対する先生のお考えを伺った。

 

研究の内容

梅津先生が研究を行うサブサハラアフリカのザンビア共和国では、雨水を利用した天水農業が伝統的に行われており、人々の生活は環境変動に対し脆弱なものとなっている。このような地域では、人間社会と生態系がショックから速やかに回復すること(レジリアンス)が発展の鍵となる。では、環境変動が起きた際、食料の生産・供給・消費、人々の健康状態はどのようにショックから回復するのだろうか。梅津先生は、実際の農村世帯やコミュニティにおいて調査を行い、ショックの発生から回復までの道のりを見つめることで、環境変動が及ぼす農村世帯への影響、レジリアンスの要素や条件を明らかにした。

 

研究の目指すもの

調査を通して、非農業収入や親戚や友人等の社会的ネットワークが世帯のレジリアンスにおいて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。食料援助等の社会制度もある程度は有効。このことを踏まえた上で持続可能な食料生産とレジリアントな農村社会の実現を目指し、「社会・生態システムが既に持つ能力やポテンシャルを高めていく」という前向きな発想のもと、世帯や地域のレジリアンスを向上させるためにはどうすればよいかを考える。そして、農村の人々の選択肢を中心に置きつつ彼らをサポートしていく。

 

研究の今後について

今回の調査では、食料消費の変化をショックからの回復の主な指標としていたが、今後はそこから一歩踏み込んで、消費の変化がもたらす栄養状態の変化にも注目したい。

 

持続可能な社会の実現のために

先進国の場合、「大量に消費することが豊かだ」という豊かさについての人々の意識をまず変えなければならない。人間や社会の価値観の変革(transformation)も持続可能な社会の実現には重要と考えられる。また、持続可能性は資源の適切な管理・消費だけでは不十分。例えば、そこに生まれてしまったがためにその人のポテンシャルを開花させることが出来ないなどといった地域間の不公平を見直すなど、人間社会のシステムの在り方からも、もっと考えていくべき。

 

Goal2について

栄養面の飢餓にも注目していくべき。タンパク質、脂肪、炭水化物以外のビタミン、鉄分、ヨウ素などの微量栄養素(micronutrient)も健康の維持には重要であり、隠れた飢餓(hidden hunger)の現実を認識することも重要である。しかし、それらのバランスを考えた支援は容易ではない。農村地域では世帯の農業生産物の種類を増やせば世帯構成員が摂取できる栄養素も多様になるのか、それとも収入を増やしてマーケットを経由して多様な食料の購入を促すほうが効果的なのか等、マーケットの発達状況など地域の実情に合わせて考えていかねばならない。

 

新入生にひとこと

自分が住む土地以外にも目を向けて、色々なところに行って多様な人々と出会って色々な文化を体感してほしい。

 

お話を伺って

環境変動を予測して事前に備えることはもちろん大切である。しかし、世界各地で予測できない環境変動や、想定外の被害が生じている。だからこそ予測を超えた時、いかに速やかに回復できるかということも持続可能な社会の重要な要素であり、求められている力だと感じた。また、持続可能な社会については「人間社会のシステムの在り方からも、もっと考えていくべき」という言葉が印象に残った。持続可能性と言えば、例えば持続可能な資源利用など、目指す形が比較的分かりやすいものに注目しがちだった。しかし、持続可能な社会の実現のためにはもっと多角的な視点で考えていくべきなのだと気づかされた。(田中千尋)