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EXPO2025ユース調査隊! ラボレポート特集:本当に誰一人取り残していないか? - SDGs KYOTO TIMES
京都から世界にSDGsを発信する情報プラットフォーム《SDGs KYOTO TIMES》。1,300年の歴史を持つ京都は、町や暮らしを持続させる知恵の宝庫です。各所で始まっている「次の千年に向けた京都のSDGsの取り組み」を発信しています。
2025.10.01
本記事は、2025大阪・関西万博の関西パビリオン京都ゾーンにて、 8月4~8月17日の「環境・SDGs」ウィークスに実施された「EXPO KYOTO超SDGsみらいラボ」に企画から携わったEXPO2025 京都ユースプロジェクトの高校生ユースによる体験レポートです。「EXPO KYOTO超SDGsみらいラボ」では、日替わりで研究者などの専門家にラボの企画運営を行っていただきました。
今回は8月17日に行われた、京都市立芸術大学の磯部 洋明准教授と北海道大学博士課程のファティマ シャクラさんによるラボについてです。
ラボテーマ:本当に誰一人取り残していないか?
ラボ概要:No One Left Behind (NLOB) というフレーズはSDGsが採択された2015年において、極めて重要な原則として掲げられ、今でも国連の報告書やさまざまな課題の制作方針でよく使われるスローガンです。しかし、現在の社会・政治的な場面で、本当に誰一人取り除かれていないのだろうか?このラボではワーク型とゼミ型を通じ、Inclusivityに関して見て見ぬふりをしてきたことに向き合う議論の場になります。
【ユース体験レポート】
執筆:京都市立西京高等学校 佐藤匠
私は万博でスタッフとして「誰も取り残さないとはなにか」ということをテーマに、来場者の方とこの社会で取り残されている人はいないかということを対話しました。このテーマは、SDGsの活動理念に通じており、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、個々人がどのように向き合うかを考える機会となりました。
事前準備として、私は「日本の職種の偏り」に注目し、日本の職種ごとの人口の差異について詳しく調べました。その結果日本の農業について特に深い興味を持ち、農業の未来や、コンピュータなどによって代替が可能かなどを調べました。
当日は、来場者の方へ、「取り残されていると思う人」を考えてもらいました。また、自分が調べた内容について発表する機会もあり、農業に関わる人々がどのような点で取り残されているのかを共有することができました。
この活動を通じて、私は様々な意見に触れるという経験をし、その結果誰一人取り残さない社会を作るというのは難しく、自分の視野が限られたものだったということを痛感しました。今後は、こうした視点を大切にしながら、多くの人が安心できる社会について考えたいです。
執筆:京都府立山城高等学校 竹内ゆい
「誰一人取り残さない」と掲げていても、見えていない・気づかれていない人はたくさんいるし、その人が取り残されていたとしても誰も意に介さないのではないかなと思いました。だから、問題を発信するお手伝いができたらなと考えていました。
準備段階から、この観点で考えるということの難しさを思い知りました。世界には会ったことも見たこともない人が山ほどいて、そんな人たちを「誰一人取り残さない」というのは途方もなく大きなことだからです。でも、一気に全ては到底無理でも自分が思うことを伝えるだけで、他の人の視野を広げることはできるかもしれないと取り組みました。私は特にジェンダーの観点から、差別の問題やパートナー認定の問題について調べたのですが、元々ジェンダーに対する知識がほぼゼロの状態でWebを見て資料を作るのはとても大変でした。調べれば調べるほど、聞いたことのない単語がどんどん出てくるし、またデータや英語のサイトは読むのにも難儀します。それだけ自分は何も知らなかったんだな、と気づくことができました。
当日はゼミタイムと並行して付箋ワークも行いました。戦争問題やジェンダー格差、気候変動について、というトピックで話しかけると、難色を示す方がたくさんいました。私もこのチームに参加する前だったら、同じように顔を顰めていたと思います。楽しい万博で考えるにはあまりにも重い話題だからです。しかし、足を止めてくれた方により身近な話題を振っていくと、興味を示してくれるようになりました。左利きの生きづらさ、価格高騰の辛さ、最近の暑さ…などなど。初めは自分が日頃から持っている小さな思いだったのが、だんだん話が広がって、じゃあ他の人はどう思っているんだろう、誰に言ったら、何をしたら改善されるのだろう、環境問題にはどうやって取り組めばいいのだろうと考えてくれる方がちらほら出てきました。中には自分から経験談や考えを教えてくださる方もいました。以下に一部を記録しておきます。
・昔、「女性だから」という理由でマンションを借りられなかった。女性差別はよくない。
・(給食調理員さん)残った給食を捨てるの勿体無い
・落としたメガネが届けられていたおかげで帰ってきた。親切は必ず帰ってくる。1日一回でも、何かいいことをしよう。
・学校でもっと具体的な政治や歴史(近代史)を教えるべき
このようなお話はどれも、世界でただ一つの意見だなと思います。このワークの素晴らしいところは、そうした考えを可視化して、知らない人に思いを繋げていけることだと思います。「誰一人取り残さない」ためにはより多くの情報を集める必要があるので、万博だけでなく、そうやって知らない人の意見をふと聞いてみる、という機会を作ることは非常に意義のあることだと感じました。
また、チームの皆様のゼミタイムでの発表も非常に勉強になりました。先生方がこれまで集めてこられた多大な知識は、初めて知るものばかりで衝撃を受けました。ファティマさんが話しておられたパレスチナの問題はニュースで聞くことのできない悲惨な現状で胸が締め付けられました。「楽しい万博の裏ではこうしたジェノサイドが起きている。」という言葉に改めて自分の無力さと争いの遠さが感じられました。食料を届ける手段が、ドローンや飛行機や貨物船など私たちが思いつくものからは程遠い地道なもので、悲しかったです。磯部先生が話しておられた多様性の考え方には驚きました。ジェンダーについて調べている中でもキーワードだった「多様性」。私はもちろん、それは作っていくものだと思っていたし、その方法を模索していくのだと考えていたけれど、実はもう多様性はあって、問題はそれをどう受け入れるかなんだと知りました。みんなが多様性は作るものだと考えている時点で、すでに人間は何かしらの枠に囚われている証拠なのかなと思います。どうやったら人々の潜在的意識を覆せるのかを議論していくべきなのかなと感じました。
京都から世界にSDGsを発信する情報プラットフォーム《SDGs KYOTO TIMES》。1,300年の歴史を持つ京都は、町や暮らしを持続させる知恵の宝庫です。各所で始まっている「次の千年に向けた京都のSDGsの取り組み」を発信しています。






















