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「京北地域・住民と森林の関わりに関するアンケート調査」報告会 - SDGs KYOTO TIMES

2021.03.31

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京都大学及び京都超SDGsコンソーシアムは、関係者の協力を得て、令和210月から令和31月にかけて、京北地域住民を対象に 「京北地域・住民と森林の関わりに関するアンケート調査」(主に、自治組織を通じて全2029世帯への配布を依頼)を行いました。

その結果について、2021219日に続き、320日に京都市京北地域の元京北第一小学校で報告会を開催しました。

アンケート報告以外に、玄関の靴箱展(イシューボックス)にて北桑田高校生、京北住民、協賛企業との対談動画の撮影や、世代や専門分野を超えて、学生×地域の皆様×京都超SDGsコンソーシアム関係者による体験ワークショップも同時に開催しました。

写真:体験ワークショップミニ英語教室(京都大学学生)

写真:体験ワークショップSDGsゲーム(京都市 齋藤久也氏)

写真:体験ワークショップわら細工(ふるさと京北鉾杉塾 河原林成吏氏)

写真:体験ワークショップ木工(京北銘木生産協働組合 一瀬章弘氏)

写真:体験ワークショップSDGs小枝×ステンドグラス(NPO法人森守協力隊 宮西恵津子氏)

写真:体験ワークショップ傘のアップサイクル(里山デザイン 福元宏徳氏)

各ワークショップでは、大人の方も子ども達もわくわく楽しんで参加されている様子が伺えました。特に子どもたちにとって、ワークショップを体験することで地域の文化をもっと深く理解できますし、異文化コミュニケーションを通して、世界観を広げることもできると感じました。

 

【武田裕希子 修士研究成果報告】

2020年度に修士の研究として取り組んだ「京北地域住民と森林との関わりに対する意識と行動分析」に関して、アンケート等の結果を報告しました。今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止にも配慮し、ポスター形式で行いました。京北銘木生産協同組合にお作り頂いた計5つの絞り丸太の額縁に、①研究の概要、②行動、③意識、④研究に基づく提案、⑤多様な人々の繋がりについての説明が並びました。

訪れた住民の方々との対話を通して、アンケートだけでは見えてこなかった実態や意識をより深く理解することができました。例えば、「財産区の会員に入っていなければマツタケ山の入札に参加できなかった」というお話からは、マツタケという価値の高い林産物を採取する有益で楽しい活動のために、森林の管理に携わる責任が生じるような地域の上手い仕組みが存在していたことが伺えました。また、④の提案として「防災という共通課題」を提示した根拠でもある「91%の回答者が地域の森林に防災機能を期待すると回答した」ことに対して、「京北地域の住民は、自分たちは桂川上流域に暮らしているので下流に対する責任がある、という意識を持っていることも影響するのではないか」といった指摘を頂きました。私たちが研究している「森里海連環学」にも通じる意識を、京北住民の方々は歴史や生活の中で実感されているのかもしれません。一方で、もう一つの④の提案「森林の総合利用」に関する森の幼稚園について子育て世代の女性とお話ししていたところ、「地域内に森の幼稚園を望むお母さんは多いと思うが、少子化が進む中で森の幼稚園を立ち上げようという人は居ないと思う」という意見が聞かれました。実は、京北地域には既に森の幼稚園の活動を長年継続しているNPOが存在し、地域外から多くの子どもが集っています。今後地域内の保育所等とのつながりが深まり、京北地域の子ども達が今よりも更に自然体験学習や木育、環境教育といった視点が盛り込まれた質の高い教育を受けられればと期待します。豊かな自然の中での質の高い教育は、移住促進にもつながるのではないでしょうか。

研究やその報告会から明らかになったことはほんの僅かかもしれません。それでも、「これまで京北地域住民は都市部には無く京北地域にはある豊かな自然資源を価値に変えて生活を成り立たせてきたこと」、「現代の京北地域住民も森林との関わりは途絶えておらず、多くの住民が愛着を抱いていること」、しかし一方で、「これまで通り木材生産だけに頼る森林との関わりでは限界があり、多くの住民が危機感を抱いていること」などが改めて認識されました。

木材生産等に携わり森林との付き合い方を熟知した方々と、これまでにない新たな視点やビジネスを吹き込むことができる移住者の方々、加えて、様々な取り組みの意義を地域住民に丁寧に伝え、住民の不安や問題を察知して取り組みの軌道修正に繋げられる地域コミュニティに精通された方々などが緩やかにつながることで、地域の可能性が広がるように考えます。先人が代々手入れを続けられ、京北地域の豊かな水や空気、景観といった魅力を今も支える森林。これを守り、活かして、次世代につないでいただきたいと心から願っています。そして私も、微力ながらその一翼を担っていきたいと思います。引き続き、宜しくお願い致します。(武田裕希子)

最後に、京北地域住民をはじめ、このイベントに協力していただいた関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

文責:張馨キ(京都大学地球環境学堂 研究生)

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SDGsの社会実装を目指す
「京都超 SDGs コンソーシアム」

SDGs先進都市である京都市をフィールドに産学公が連携し、SDGsの達成に向けてともに考え、行動し、発信する「京都 産学公 SDGs プロジェクト」が2019年6月27日に発足しました。
プロジェクトを推進し、SDGsの社会実装を目指すために「京都超 SDGs コンソーシアム」(京都大学、京都市、リコー、JT、安田産業、ソフトバンク、ecommit、セブン&アイ・ホールディングス、三洋化成工業)を立ち上げ、京都大学における資源循環や省エネ・創エネに関する取り組み、人口が減少している中山間地域の維持、持続可能性・SDGsをテーマにした教育プログラムの開発等、SDGsの社会実装を目標とした取り組みやシンポジウムや博覧会等による発信・情報交換を行っています。

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