京都大学に植生された街路樹等は、主として広葉樹の落葉が春と秋に見られる。施設部管理課営繕掛によって集められているのであるが、そのほとんどが外部委託業者によって焼却処理されている。一部の大学でもその落葉等は堆肥化されており、当大学でも平成22年度末よりその一部の堆肥化を試みている。廃棄物の有効利用と環境負荷の軽減になればという観点から始めたものである。
落葉の堆肥は約1年も経過すると腐葉土となり、有機堆肥として利用できるため、学内の掲示板で利用希望者を募集している。夏季の省エネ効果を狙って、グリーンカーテン用にゴーヤとの同時配布も行っている。下の写真は8バッチあるうちの1つで約0.7㎥ある。
落葉の堆肥化状況
当初の目的はこの堆肥化であったが、時間の経過とともにミミズが発生し始めることとなった。並行してミミズを使った生ごみの処理を試していたのでこれ幸いと考えた。適時の切り返し作業や米糠の添加による発酵の促進を図り、水分等の調整等の工夫で落葉の堆肥化とミミズの発生、それにミミズによる落葉堆肥化の促進が期待されることとなった。
落葉堆肥中のミミズ発生数の経過
上記のグラフは最もミミズの発生数の多かったバッチにおける発生数の変化を示している。これらのミミズカウント時期は全て落葉の切り返えし時に行ったものである。ミミズは計数ごとに取り出しており、1年3カ月での発生総数は21,523匹となった。やはり暖かい季節の発生数は多く、冬季はミミズの活動が鈍ると言われているが、約半数で留まっているのは米糠添加による温度上昇の効果が考えられる。平成26年の1年間で取り出したミミズは約6㎥の落葉において、約6万8千匹を数えている。単に落葉のみによる堆肥化に比べれば、ミミズの堆肥化促進効果も十分あるのはミミズの糞の多さも観察出来、堆肥としての有用性もあると考えられた。
落葉堆肥に発生するミミズのほとんどはシマミミズであり、生ごみの処理に有効なことは関係者には既知のことであるものの、まだまだ一般の方々には知られていない。自治体の焼却炉に持ち込まれる家庭ごみの中には約40%の重量の生ごみが含まれ、その原料はどの自治体でも重要な課題である。この減量にミミズが利用できるのではないかと考えている関係者もおられるし、小学校でも環境教育の一環として学びの材料となっている例がある。これも学内の掲示板で、右写真のように各家庭において生ごみ処理に活かせることを示し、希望者を呼びかけた。
学外での利用をどこまで広げられるか、また学内で他の有効利用の手立てがないかなどまだまだ検討の余地はあり、今後も落葉とミミズの取り組みは続きそうである。
ミミズを利用した生ごみの堆肥化