7/8(火)に国際科学イノベーション棟のlinkhub@にて、竹箸プロジェクトのトークイベントを開催しました!
本イベントは、現在学内で進められている竹箸プロジェクトについて学ぶとともに、学内で環境問題に取り組む団体間での交流をすることを目的として実施しました。
竹箸プロジェクトより森林利用学研究室の森田瑞穂さん、檀浦正子先生を話者としてお招きし、竹箸プロジェクトの取り組みをご紹介頂くとともに、エコ〜るど京大、えこみっとから参加した約10名とともに環境意識や環境活動について活発な議論が行われました。
第1部 「竹箸プロジェクト取り組み紹介」
〇プロジェクトメンバーの森田さんより、竹箸プロジェクトの始動のきっかけ、なぜ竹箸なのか、これまでの活動の軌跡、現在の課題と今後の展望などについてご紹介頂きました。
そもそも竹箸プロジェクトとは、大学の生協食堂の箸をプラスチックから竹製に変えることを目指したプロジェクトで、京都大学農学研究科森林利用学研究室を中心に進められています。プロジェクトの構想自体はかなり前からあったそうなのですが、コロナの影響でなかなか実現せず、2023年に満を持して始動しました。その後、2023年度の秋~冬に1度目の導入(@北部食堂)、2024年度の冬に2回目の導入(@北部食堂、カフェテリア・ルネ)と改良を重ね、現在(2025年夏)、北部食堂にて3回目の導入が行われています。
竹箸プロジェクトは、メンバーの環境問題、とりわけ地球温暖化、プラスチック問題、放置竹林問題という3つの問題への危機意識がきっかけとなり、始動しました。また、最も繊細と言われる器官である口に触れる箸に焦点を当てることで、感覚にも訴えられるという狙いもあるそうです。竹箸は従来のプラスチック製の箸に比べるとコストがかなり高い点や、黒ずみやカビが発生しやすく、乾燥方法などの改良が求められる点など、改善点は残るもの、環境問題の解決に向けた「価値観の変革」や「現状は変えることができる」というモデルケースの構築に向けて日々活動されています。
竹箸プロジェクトのさらなる詳細を知りたい方は、こちらのホームページをチェックしてみてください!→→https://sites.google.com/view/riyou-ku/special-project-new
第2部「環境活動についてのパネルディスカッション」
〇エコ〜るど京大とえこみっとのメンバーも交えて、竹箸に関する質問や、様々なテーマについてのディスカッションを行いました。

想定以上に盛り沢山な内容となったため、全ての質問・意見を載せることはできないのですが、一部を抜粋してご紹介します!
テーマ①:竹箸について
Q.どのように衛生管理をしているのか
A.月に1度回収して汚れチェックをするとともに、カビ検査を業者に依頼したり、簡易検査キットでのチェックを行ったりしている。また、カビが発生してしまったら、燃やして新しいものと入れ替えることで、竹を巡る循環経済を作っていきたいと考えている。
Q.なぜ木材ではなく竹材を選んだのか?
A.放置竹林が問題となっており、京都にも竹林が沢山あるため、それを活用したいと思った。昔は、家の裏に竹を植えて、必要な時に切って利用していた。竹は成長速度が速いので、短期間で伐採・利用のサイクルを回せるという点で良い素材となる。間伐材を利用するという案もあったが、耐久性が低いうえ、コストも竹の方が低かった。
Q.竹材を産業利用することは可能か?
A.竹材の産業化のボトルネックは、切子さんという竹を切る人の不足にある。量が確保できないうえに、放置竹林が多いため質もあまり高くないのが課題。
→今の技術を用いて、機械的に伐採をすることもできるのではないか。
Q. 最近、コンビニでも使い捨ての竹箸が増えてきたのはなぜか?
A.中国産の竹材を薬剤で乾燥させることで、コストを抑えている。京大で使用している竹箸は3年ぐらいかけて乾燥させており、プロセスが全く異なる。
テーマ②:竹箸プロジェクトの裏話、思い出など
Q.メンバーの加入経緯
A.家で竹箸を使用していたが、洗浄・乾燥が難しく、プラスチック箸に変えたという経験があり、現在プラスチック製の物を代替する難しさを感じた。そのような中で、声を掛けてもらって、竹箸に変えることで発生する課題にも向き合い、客観的な根拠をもって対処していくプロジェクトに魅力を感じて参加することにした。先生の授業経由で、他の専攻・学部から参加してきたメンバーもいる。
Q.三角柱やポスターなど様々な媒体で宣伝されているが、学業との両立は大変だったのでは?
A.学生で分担するとともに、先生にもたくさん助けてもらった。研究活動との両立は大変だった。
テーマ③:活動の意義・広報活動について
Q.環境問題との結びつけにこじつけ感があるような…
A.そういった意見があるのは確かだが、一番の目的は環境問題への関心のきっかけにしてもらうことにある。まずは、行動して実現させることに意味があるのではないかと考えている。
Q.他大学への設置等、今後の展望は?
A.いずれは実現したいが、必要なステップは多い。マニュアル化が必要となるが、食堂によって状況が異なるため、オペレーションの統一が難しい。
Q.プラスチック製の箸と竹箸が並んでいる時に、どちらの方が選ばれているのか?
A.明確なデータはない。そもそも数が少ないのもあるが、北部食堂では、お昼のピーク時間を過ぎると、竹箸は大体全部なくなっている。
テーマ④:環境問題の日本と海外の意識の違い
・国民性の違い、根底にある文化の違いが影響しているのではないか
・日本はプラスチックごみの量が多く、何とかしたい。昔のプラスチックを使わないやり方を再導入したいが、プラスチックの方が良い(より衛生的に感じる、など)という価値観がある。
・海外の環境問題の意識の発端には産業革命があり、身近に環境問題を感じてきたために、意識が高いのではないか。
・日本では使い捨て文化のアメリカの影響が大きいのではないか。アメリカでは、まだまだ環境問題に対する意識が高まっていないと感じる。
テーマ⑤:学生団体として環境活動をする難しさ
・人によって環境問題に対する意識の差があり、なかなか同じ熱量で活動できない
・イベントやシステムの継続・継承の難しさ
→目標の長期的な実現には、新メンバーを定期的に入れて、引き継いでいくことが重要
・環境問題に関する活動はどうしても、仕事みたいになってしまうため、自分が楽しいと思えることをやることが大切
参加者からは、「竹箸プロジェクトも思っていたより奥が深いと感じた」「もっと多くの人に竹箸プロジェクトのことを宣伝したいと思った」「今回をきっかけに活動の輪をひろげていきたい」といった声が上がっていました。
短い時間ではありましたが、竹箸プロジェクトについて学ぶとともに、異なる視点から環境問題に取り組む団体同士の交流を深めることができて、とても有意義なイベントとなりました。
ご協力頂いた森田さん、檀浦先生、参加頂いた皆様、本当にありがとうございました!

