落葉の堆肥化と発生ミミズの利用【解説追加】
2016.03.22
大学構内の落葉のリサイクルとして、堆肥化(腐葉土)し、希望者に配布することで畑やプランターに還元しています。落葉に発生したミミズは採取して、別途、生ごみ等の堆肥化に利用しており、これも希望者に配布しています。春と秋に落下する落葉は、以前から学外で有償による焼却処理を行なっていましたが、これらを堆肥化し、発生するミミズを有効利用することで、自然のリサイクルに乗せることを目的としています。
落葉の堆肥化は大学のみならず、昔から至る所で行われ利用されてきた。しかし昨今化学肥料の普及に頼り、落葉等は焼却処理に移行し省力化の傾向にある。ことに大学では研究を兼ねて行われることはあるが、関係者の移動等で一時的な試みになることが多い。研究も並行して行われることは望ましいが、継続して常態化されることは環境や教育の観点からも望ましい。
京都大学では本部キャンパスの一部ではあるが、過去5年間で9.6tの落葉を使って17.6tの堆肥を生産してきた。これを全学に広めようとすれば、費用対効果やシステム化等をクリヤしなければならない。人件費の問題や作業場所、またどこまで機械化が望めるかどうかなどを解決しなければならない。
落葉の堆肥化方法は落葉のみで出来ないことはないものの、時間がかかりすぎるので添加物として発酵促進剤(EM菌等)、もみ殻、燻炭、米糠、乾燥鶏糞、乾燥牛糞等の助けを借りることが多い。本学では費用や臭気の影響や入所の難易度から、現在では米糠のみを使用しているが、なんとか満足している。
堆肥化の作業手順は容器に落葉を入れ、水を含ませて糠を振りまいていく。適時切り替えし作業を行ない、空気を入れてやる。乾燥気味になると堆肥化は進まないので天候により調節する。そのためにも容器は蓋やビニール等でおおう方がよい。糠は入れ過ぎないよう最小限度に留める。
一方2年余り前から腐葉土内にミミズの発生がみられたので採取することにした。落葉の堆肥化している容積は約6㎥あるが、約5万匹/年発生している。ほとんどがシマミミズという種類でこの種は生ごみを食すことが知られている。ミミズの糞は良好な肥料であるが、ミミズの活動は季節にも数にも影響を受けるため、発酵菌による堆肥化も考慮する。
ミミズを生ごみの堆肥化に利用するにあたって次に注意点を上げる。
◆ハエ等が卵を産まないよう網やピンホールを空けた蓋つき容器を使用する。
◆ミミズは、乾燥や高温に弱い。
◆寒いと活動がにぶるので低温の場所を極力避ける。
◆水分が下にたまらないように穴を空けるなど水はけを良くする。
◆塩分の濃いものは与えない。
◆腐敗の過多を避けるため、腐葉土や土等で生ごみを覆う。
●落葉堆肥化のgoogle画像
●ミミズに関する参考書
「だれでもできるミミズで生ごみリサイクル」
メアリー アッペルホフ著 合同出版
「生ゴミを食べてもらうミミズ御殿の作り方」佐原みどり著 VOICE
「教授とミミズのエコ生活」三浦俊彦著 三五館
【一押し情報】
「ミミズと土」
チャールズ・ダーウィン著 渡辺弘之(京都大学名誉教授)訳 平凡社