●はじめに
大学の省エネには、構成員の理解と協力が欠かせません。 理学部2号館(以降、本館とする)をモデルにエネルギー管理システムを導入し、構成員に呼びかけて省エネ活動を2009年6月22日~28日の1週間実施し、 モニタリングした結果を報告します。詳しい内容については環境保全No.24※を参照してください。
●電力計測システム
本館地下1階、1階から5階に計72台導入された計測機器によって計測された電力データをブラウザに自由に表示できるようなシステムを導入し、 使用している電力量の問題点、省エネ、改善の効力の“見える化”を目指しました。
●取り組み
省エネ活動のプロセスは特別なことではなく、PDCA(Plan,Do,Check,Act)の サイクルを回すことです。
●活動内容
次のような省エネ活動を、学生を中心とした構成員に周知徹底しました。
- 1.こまめな消灯、土日の部分点灯や部分空調の実施
- 2.待機電力の削減、省エネモードの実施
- 3.空調電力の削減、空調温度の適切な設定
●結果
省エネ活動後の電力の利用状況を活動前と比較してみます。
オフィス系フロアの事例
1階南西エリア(平日比較)
1階南西エリア(日曜日比較)
実験系のフロアでの事例
4階南西エリア(平日比較)
4階南西エリア(日曜日比較)
●活動後のアンケート
研究への影響に関するアンケートの結果によると、省エネ活動は概ね研究活動等に影響がないという結果になりました。 しかし 一部、不便だという声に対し、改善や工夫の必要があるのか検討する必要性があります。
電灯電力に関しては研究所に人がいる際の部分消灯の意識が浸透しておらず、部分消灯のできる設計変更や意識啓発の必要性が見られます。
電気製品電力においては機器の待機電力の削減や省エネモードの活用をさらに定着させていく必要があります。
空調電力に関しては概ね省エネが定着し、活動週間後もすべての人が活動を続行し続けているという結果が出ました。
●おわりに
今回の環境配慮行動による省エネ活動により当初目標である5%削減を超える成果となりました。この結果は本館の構成員の省エネ活動によって実現できたものですが、その活動を推進するために次の3点が必要であることも明らかになりました。
・ 省エネ活動の推進体制の構築
・ エネルギーの使用実態がわかるモニタリングシステムの導入と活用
・ 構成員への活動成果のフィードバック
今後は今回の省エネ成功事例を元にしてこの継続を図ることに加え、活動エリアの拡大を推進していくことが重要になっています。
※京都大学環境保全センターが年に1回出している情報誌(問合:075-753-7700)
- 文責
- 戸部博(京都大学大学院理学研究科)
- 塩田一裕(京都大学施設環境部)
- 山本潮(京都大学環境安全衛生部)
- 浅利美鈴(京都大学環境保全センター)
- 吉田治典(岡山理科大学、京都大学名誉教授)
- 内藤慎次(オムロン株式会社)