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【京大!バイオスクープ file14】7月の木 クチナシ

2023.07.03

学び 京大!バイオスクープ

文責・清水

複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回のご依頼はこちら「着色料として目にするクチナシってどんな植物?」

 この初夏にまちで見かける白い花が、クチナシです(キョウチクトウの可能性もありますが!)。街路樹でも良く見かける植物で、百万遍にも植えられています。

 

クチナシ-梔子
学名  Gardenia jasminoides アカネ科クチナシ属
開花時期 6~7月
@吉田キャンパス吉田南構内吉田南図書館の裏

クチナシと言えば花弁が6枚のお絵描きで描くような花を想像しますが、街中では八重咲きの品種もよく見ます

 

 

へぇ☆「たくあんの黄色、伝統の黄色」

 クチナシの実は濃いオレンジ色をしています。この実は天然の黄色色素として古くから使われてきました。現在でも食品に使われています。
 ここで、栗きんとんやたくあんを思い出してください。あの鮮やかな黄色は栗や大根本来の黄色ではなく、着色料によるものというのはご納得いただけますでしょうか。今では合成着色料が用いられることもありますが、クチナシの黄色の色素が使われているものもあります。

 この黄色い色素はクロシンというカロテノイドの仲間です。人参などに含まれることで有名な、光合成色素のβカロテンもカロテノイドの仲間です。多くのカロテノイドが有機溶媒に溶けやすい一方、クロシンは水溶性。だから栗をゆでる時に色素が溶け出すことができるのです。

 また、食べ物以外にもクチナシは使われています。吉田神社では節分祭の時期だけ、梔色のお守り・お札を授与していることは、京大生ならご存知でしょうか?梔色は日本の伝統色で、厄除けのご利益があります。筆者も、去年の吉田神社で梔色のお守りとお札を納め、実家に送りました。行ったことがない方は、ぜひ吉田神社の節分祭を訪れて梔色を目にしてみてくださいね。

 

へぇ☆☆「優雅な香り」

 クチナシの花に近寄ると、そこまで顔を近づけなくても濃厚で甘いお花の匂いがします。その香りでクチナシの存在に気がつくほど強い香りです。春のジンチョウゲ、夏のクチナシ、秋のキンモクセイと合わせて三代香木といわれるほど、香りの強い木です。

 クチナシの種小名(学名の二単語目) jasminodes というのは、ラテン語で「ジャスミンのような」という意味です。ジャスミンも独特で強い香りのする植物です。クチナシの香りは香水などにもよくつかわれています。
 その成分はベンジルアセテート、リナロール、リナリルアセテート、ターピネオールなどなど。なんのこっちゃという感じですが、どれももちろん芳香で名高く、他の様々な植物に含まれています。例えばリナロールレモンオレンジなどに含まれ、化粧品からお菓子まで広く用いられています。

 

へぇ☆☆☆「黄色だけじゃない!!」

 クチナシが出す色は黄色だけではありません。黄色に加え、赤色、青色も作ることができます。ここではクチナシ青色素についてとりあげます。クチナシの果実から得られたイリドイド配糖体タンパク質分解物の混合物に酵素を加えると、青色の色素が得られます。先ほどの黄色色素と混ぜれば緑色になりますし、赤色色素と併用すれば紫色の着色料になります。清涼飲料水やお菓子などに使われています。

視覚でも嗅覚でも存分にクチナシを味わって見てください。

 

クチナシは生活を彩る色と香りをもたらす。

 

参考文献

森乃おと(2022/06/15). クチナシ. 暦生活. https://www.543life.com/shun/post20220615.html (2023/06/28アクセス)
S.Mayama(2012). クチナシ. 『学芸の森』植物情報.  https://www2.u-gakugei.ac.jp/~planttgu/dokodemo/pc/019x.htm (2023/06/24アクセス)
三栄源エフ・エフ・アイ. クチナシ青色素. https://www.saneigenffi.co.jp/product/detail/7434e16286156edbf5524d2edf2dc89a02d549ce.html (2023/06/24アクセス)
https://www.t-hasegawa.co.jp/cgi-bin/pla.pl5 (2023/06/26アクセス)
化粧品成分オンライン(2022/08/03). リナロールの基本情報・配合目的・安全性.https://cosmetic-ingredients.org/fragrance/4049/ (2023/06/26アクセス)
吉田神社. 節分祭について. https://www.yoshidajinja.com/setubunsai.htm (2023/06/28アクセス)

 

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