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【京大!バイオスクープfile15】7月の野鳥 アオバズク

2023.07.10

学び 京大!バイオスクープ

文責・喜安

複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回のご依頼はこちら「夜、ホッホーと鳴く鳥は?

アオバズク
フクロウ目フクロウ科
Ninox japonica
全長:29cm
分布:全国
季節:夏鳥


旧演習林事務室

夏の夜、ホッホーという鳴き声を聞いたことはありませんか?「お、フクロウが鳴いている」と思うかもしれません。いえいえ、それはアオバズクです!

へぇ☆「最も身近なフクロウの仲間」

フクロウといえば「ホッホー」という鳴き声を思い浮かべますよね。実はこれ、アオバズク(フクロウ目フクロウ科)の鳴き声なんです!種名がフクロウ(フクロウ目フクロウ科)という野鳥もおり、こちらも全国に分布していますが、京大付近で最も観察しやすいフクロウ科の野鳥はアオバズクです。アオバズクの鳴き声は、北部構内の農学部グラウンドの東側の方面からよく聞こえてきますが、先日は旧演習林事務室の近くからも鳴き声が聞こえてきました。恐らく同じ個体ではないかと思われます。京大の近くでは、他に京都御苑で生息が確認されています。余談になりますが、フクロウの鳴き声はアオバズクより低く太い声で、「ウォゥ ウォゥ…ゴッホウォーウォー」と鳴きます。この後半の部分の有名な聞きなし(鳴き声を人間の言葉に置き替えること)が「五郎助(ごろすけ)奉公」や「ボロ着て奉公」。今の時代にはそぐわないですね…。

 

へぇ☆☆「青葉の季節にやってくる」

アオバズクは漢字で書くと青葉木菟。4〜5月頃、葉が青々としてくる季節に日本にやってくることが名前の由来になっています。繁殖を終えた後、9〜10月頃に越冬のため東南アジアへ行きます。写真ではあまり分かりませんが、黄色い虹彩が特徴的です。昼間はじっと木にとまっていますが、夜になると活発に鳴き、主にセミなどの昆虫を捕らえて食べます。曇りや小雨のときは早めに鳴くそうです。木の洞に巣をつくり、6月下旬には、巣立ったひなが見られることがあります。ところで、アオバズクはいわゆる「鎮守の森」と呼ばれるような、神社やお寺の大きな木によく営巣します。じっとしている姿も相まって、アオバズクを観察していると、自然と落ち着いた、神聖な気持ちになります(※個人の意見です)。残念ながら、アオバズクの営巣に適した大木は近年減りつつあり、アオバズクの数も減少していると言われています。鎮守の森は文化的・精神的な面でも、生態系保全という面でも、大切な役割を果たしているんだなと改めて感じます。

 

へぇ☆☆☆「ややこしい!ミミズクとフクロウ」

ミミズクとフクロウの違いは分かりますか?ミミズクは、フクロウ科のうち、羽角という、顔の上にある一対の羽毛の束を持つ種の総称です(分類もフクロウ目フクロウ科であり、ミミズク科といった分類はありません)。耳ではないですが、耳のように見えます(実際の耳は顔の横にあります)。この羽角を持たないのがフクロウです(ここでのフクロウとは、種としてのフクロウではなく、羽角を持たないフクロウ科の総称としてのフクロウです)。あくまで総称なので、ミミズクという名前の野鳥はいませんが、コミミズク、コノハズク、トラフズク、ワシミミズクなどがミミズクに当てはまります。ただし、アオバズクは名前に「ズク」が入っていますが、羽角はないのでミミズクではありません。逆に、シマフクロウは名前に「フクロウ」が入っていますが、羽角をもっています。ややこしいですね…。

 

 

アオバズクは京大の近くに生息しています。

 

参考文献

中山雄三. “ひと目でわかる野鳥”. 成美堂出版. 2010, 239p.

蒲谷鶴彦. “日本野鳥大鑑 増補版 鳴き声420”. 小学館. 2001, 447p.

日本野鳥の会京都支部. “アオバズク”. https://wbsj-kyoto.net/yachoulist/%E3%82%A2%E3%82%AA%E3%83%90%E3%82%BA%E3%82%AF/

(参照日:2023年6月30日)

 

※写真の無断転載を禁止します。

 

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