文責・横井
複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回はtwitterで見かけたこちら「京大の生け垣、食える野草多くて放置しておくのがもったいないぐらい茂ってるけど野草を食べる会とかないのかな」クリスティナさんはTwitterを使っています: 「京大の生け垣、食える野草多くて放置しておくのがもったいないぐらい茂ってるけど野草を食べる会とかないのかなw あっても入らんが。」 / Twitter
この後野草を食べるサークルはできたようなのですが・・・せっかくなので私が思う一番おいしい野草をご紹介しましょう。
ヤブガラシ(藪枯)
Causonis japonica
ブドウ科ヤブガラシ属
@吉田キャンパス吉田ショップ東側他多数
植物名を漢字で書くと特徴が分かりやすいですね。猛烈な勢いで他の植物の上に出て、覆いかぶさるように葉を広げていきます。学名に現れている通り、日本に主に生息する植物です。
へぇ☆「めっちゃおいしい」
ヤブガラシはやわらかいつるの先を食べることができるのですが、適切に処理すれば非常においしいです。食べ方をご紹介しますね!
ヤブガラシにはシュウ酸が多く含まれているので、それを取り除かないと不味ですし結石の原因ともなりかねません。シュウ酸は水に溶けやすいので、水を取り替えながら半日ほど水に晒します。
それをゆでていきます。ゆでると一瞬で葉の赤色が抜けきれいな緑色になります。今回はおひたしにして食べてみましょう。麺つゆとゴマをかけていただきます!
モロヘイヤに似たとろみがあります!しっかりとあく抜きしているので苦味・辛みは全くなく、ほんのり甘みもある完全な野菜です。収穫効率さえ良ければ野菜になっているでしょうね・・・。
へぇ☆☆「ハチなどの虫が寄ってくる」
この時期、ヤブガラシは地味な花を咲かせます。
この黄色い丸が花です。見た目ではなく蜜で虫を引き寄せるので派手である必要がないのでしょうね。写真をよく見ると数匹蟻が寄ってきているのが分かるかと思います。今回は蟻だったので良かったですが、スズメバチ・アシナガバチが寄ってくることも多いようで自治体が注意喚起をしています(朝霞市:ハチにご注意ください – 朝霞市 (asaka.lg.jp))。今回ハチが寄ってきている写真は撮れませんでしたが、私は一度アシナガバチに刺された経験があるのでご容赦ください・・・。
へぇ☆☆☆「シュウ酸で植物を見分けている」
あらゆる植物・非生物にまきついて葉を広げているヤブガラシですが、不思議なことにどんなに密集して生えていてもヤブガラシ同士が絡まることは稀です。長年の謎だったのですが、2017年に発表された研究によると、食べるのに邪魔でおなじみ(私の中で)のシュウ酸が作用して同種かどうかを見分けているそうです(深野 2017)。
例外はあるようです(笑)。シュウ酸の含有量が低いのか、シュウ酸を感知しにくくなっているのかどちらでしょうね?
さて、街中にちょくちょく見かけるヤブガラシですが、ハチが寄ってくるので自宅にはあまり欲しくない草ではありますね。地下茎が発達している植物なので駆除は難しいですが、生えてきた直後はやわらかくておいしいので採って食べるのもありかと思います。私の周りにもちょくちょく野草を食べることに興味を示している人がいますが(もしかして私の周りだから?)、ぜひ初心者におすすめです。
ヤブガラシは(ほぼ)野菜だった。
参考文献
深野 祐也 (2017) 「「ペロ・・・これは同種の味!!」つる植物は接触化学識別(味覚)を使って同種を避けている」東京大学大学院農学生命科学研究科 プレスリリース 「ペロ・・・これは同種の味!!」つる植物は接触化学識別(味覚)を使って同種を避けている (u-tokyo.ac.jp) 2023/7/10アクセス
朝霞市 (2022)「ハチにご注意ください」ハチにご注意ください – 朝霞市 (asaka.lg.jp) 2023/7/10アクセス
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