文責・喜安
複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回のご依頼はこちら「灰色の小さな小鳥は?」
コサメビタキ
スズメ目ヒタキ科
Muscicapa dauurica
全長:12-13cm
分布:全国
季節:夏鳥
理学部植物園北側
京大の北部構内にある理学部植物園をご存じでしょうか?北部構内は、植物園や旧演習林北側の林など、木々がたくさんあります。よく見ると、色んな種類の小鳥たちが飛んでいますよ!今日はその中からコサメビタキをご紹介します!
へぇ☆「地味だけどかわいい小鳥」
皆さんにとって、コサメビタキはあまり馴染みのない鳥かもしれません。体長は12-13cmで、スズメよりも小さい野鳥です。同じヒタキ科には、キビタキやオオルリ、ムギマキなど、色鮮やかで声も美しい野鳥がたくさんいますが、コサメビタキは姿も鳴き声も地味です。逆説的ですが「特徴がない」ことが特徴かもしれません。それでもコサメビタキはなかなかかわいい鳥だなぁと筆者は思っています。特に目が大きいところが好きなポイント。筆者お気に入りのコサメビタキをご覧あれ!
へぇ☆☆「コサメビタキの生態」
コサメビタキはシベリア南部から日本、およびヒマラヤ付近で繁殖し、南アジアや東南アジアで越冬します。日本で見られるのは4月から10月で、明るい林を好みます。春や秋の渡りの時期には、市街地の公園でも見られます。この記事を書いている9月上旬は、京大の北部構内で比較的簡単に見ることができました。京大の近くでは、京都御苑でも見ることができると思います。さえずりは4月下旬から5月にかけて聞かれますが、つがいを形成するとさえずるのをやめるため、さえずりの期間は短いです。それ以外の季節は「ツィー」という地味な鳴き声ですが、他の野鳥も似たような声を出すため識別は難しいです。筆者もコサメビタキは姿を見ないと断定できません。ちなみに、ジュウイチ、ホトトギス、ヒガラなど、他の鳥の鳴き声を真似することもあるそうです。昆虫類をフライングキャッチし(ちなみにヒタキの英語はFlycatcherです)、再び同じ枝に戻って食べるので、一度見つけると撮影の機会は多いですよ!
へぇ☆☆☆「よく似ているサメビタキ三種」
サメビタキ三種とは、サメビタキ属に属するコサメビタキ、サメビタキ、エゾビタキのこと。一見するとよく似ている三種ですが、コサメビタキは他の二種と違って腹が白で縦斑が無いのが特徴です。筆者もこの白さを判断の基準に使っています。また、写真のように、コサメビタキはくちばしの裏側の山吹色が他よりも広く目立つという違いがあります。ちなみに、腹に明瞭な縦斑があるのがエゾビタキ、腹が不明瞭な縦斑でエゾビタキよりアイリング(目の周りの白さ)が明瞭なのがサメビタキです。ややこしいですが、フィールドで見分けられたら嬉しいですね!
コサメビタキは地味だけどかわいい鳥です!
参考文献
中山雄三. “ひと目でわかる野鳥”. 成美堂出版. 2010, 239p.
蒲谷鶴彦. “日本野鳥大鑑 増補版 鳴き声420”. 小学館. 2001, 447p.
永井真人. “♪鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑670 第4版”. 文一総合出版. 2023, 399p.
※写真の無断転載を禁止します。
————–以下お知らせ————–
へえ☆4つ以上の情報をご存じの方は、是非SNSでコメントの投稿をお願いします。みなさんの「へぇ」知識の共有をお待ちしております!
また、京大!バイオスクープでは、京大内にあるいきものの疑問や気になることの調査依頼をお待ちしております。こちらも同様にご連絡ください。SNSのコメントやこちらにお送りください。