文責・奥野
複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回のご依頼はこちら「あの木の名前はなんですか?」
この木、何の木だろう?そう思っても、知らない木だと諦めることがほとんどだと思います。でも、見分け方のコツと樹木図鑑(森林科学科の人は「樹木の葉」という本を愛用してます)さえあれば、あなたも見分けることができますよ!
STEP1 葉の特徴を知る
樹木の同定をするときはまず葉の特徴で見分けます。今回の木、近づいてみると枝が剪定されていて、葉を採集することができません。しょうがないので、落ちている枯れ葉の中から、特徴がよく見えるものをいくつか探しました。
どんな特徴があるかを一緒に考えてみてください!
・丸い葉(=広葉樹で不分裂葉)分裂葉の代表例はモミジなど
・硬い葉ではない(=常緑樹ではなく落葉樹だろう)
・葉のサイズは中くらい(6~12cmの間)で卵型に近い
・互生(葉が対になってついていない)
この段階で下の写真まで絞られました。
さらに細かく見てゆくと
・葉の半分だけがギザギザしている(=鋸歯が半分だけある)
・根本の脈が3本目立つ
・赤黒っぽい実がついている
これらの特徴で似ているものを探すと…..「榎 エノキ」が怪しそうです。
STEP2 他の特徴が当てはまっているのかを確認する
エノキのページを確認すると…
葉の特徴は、「①葉は先半分に鋸歯があり、②基部から長く伸びる三行脈が目立つ」とあり、一致しています。そして、樹皮についても割けていないこと、9月ごろに赤い実をつけることなどがあり、まさにエノキであろうということになります。
他の樹種では生育場所によって亜種が存在しているなどもあるので、自分が今いる場所と生育地が一致しているかも確認が必要です。エノキも本州~九州に自生しており、あっていました。
あなたも、近くの木の名前を識別してみませんか?
おまけのへえ
エノキは昔、よく一里塚に植えられたり、村境にも目標樹として植えられたので各地に大木が残っているそうです。あなたの家の近くの大きな木もエノキではないか見てみてください。
「木を見分けるにはまずは葉から見ればよい」
参考資料
林将之, 山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類, 株式会社山と渓谷社, 2014.