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【2】社会と生態系の回復力から考える(梅津 千恵子 教授)

2019.04.22

学び 2019年新入生企画

Goal2「飢餓をゼロに」

梅津 千恵子 教授(農学研究科)

 

農学研究科の梅津千恵子教授に研究の詳細と、持続可能な社会とGoal2「飢餓をゼロに」に対する先生のお考えを伺った。

 

研究の内容

梅津先生が研究を行うサブサハラアフリカのザンビア共和国では、雨水を利用した天水農業が伝統的に行われており、人々の生活は環境変動に対し脆弱なものとなっている。このような地域では、人間社会と生態系がショックから速やかに回復すること(レジリアンス)が発展の鍵となる。では、環境変動が起きた際、食料の生産・供給・消費、人々の健康状態はどのようにショックから回復するのだろうか。梅津先生は、実際の農村世帯やコミュニティにおいて調査を行い、ショックの発生から回復までの道のりを見つめることで、環境変動が及ぼす農村世帯への影響、レジリアンスの要素や条件を明らかにした。

 

研究の目指すもの

調査を通して、非農業収入や親戚や友人等の社会的ネットワークが世帯のレジリアンスにおいて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。食料援助等の社会制度もある程度は有効。このことを踏まえた上で持続可能な食料生産とレジリアントな農村社会の実現を目指し、「社会・生態システムが既に持つ能力やポテンシャルを高めていく」という前向きな発想のもと、世帯や地域のレジリアンスを向上させるためにはどうすればよいかを考える。そして、農村の人々の選択肢を中心に置きつつ彼らをサポートしていく。

 

研究の今後について

今回の調査では、食料消費の変化をショックからの回復の主な指標としていたが、今後はそこから一歩踏み込んで、消費の変化がもたらす栄養状態の変化にも注目したい。

 

持続可能な社会の実現のために

先進国の場合、「大量に消費することが豊かだ」という豊かさについての人々の意識をまず変えなければならない。人間や社会の価値観の変革(transformation)も持続可能な社会の実現には重要と考えられる。また、持続可能性は資源の適切な管理・消費だけでは不十分。例えば、そこに生まれてしまったがためにその人のポテンシャルを開花させることが出来ないなどといった地域間の不公平を見直すなど、人間社会のシステムの在り方からも、もっと考えていくべき。

 

Goal2について

栄養面の飢餓にも注目していくべき。タンパク質、脂肪、炭水化物以外のビタミン、鉄分、ヨウ素などの微量栄養素(micronutrient)も健康の維持には重要であり、隠れた飢餓(hidden hunger)の現実を認識することも重要である。しかし、それらのバランスを考えた支援は容易ではない。農村地域では世帯の農業生産物の種類を増やせば世帯構成員が摂取できる栄養素も多様になるのか、それとも収入を増やしてマーケットを経由して多様な食料の購入を促すほうが効果的なのか等、マーケットの発達状況など地域の実情に合わせて考えていかねばならない。

 

新入生にひとこと

自分が住む土地以外にも目を向けて、色々なところに行って多様な人々と出会って色々な文化を体感してほしい。

 

お話を伺って

環境変動を予測して事前に備えることはもちろん大切である。しかし、世界各地で予測できない環境変動や、想定外の被害が生じている。だからこそ予測を超えた時、いかに速やかに回復できるかということも持続可能な社会の重要な要素であり、求められている力だと感じた。また、持続可能な社会については「人間社会のシステムの在り方からも、もっと考えていくべき」という言葉が印象に残った。持続可能性と言えば、例えば持続可能な資源利用など、目指す形が比較的分かりやすいものに注目しがちだった。しかし、持続可能な社会の実現のためにはもっと多角的な視点で考えていくべきなのだと気づかされた。(田中千尋)

 

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