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Goal10「人と国の不平等をなくそう」(西道奎)

2020.04.16

学び 2020年新入生リーフレット

こんにちは、エコ~るど京大・白井亜美と申します。今回、このSDGsインタビューのテーマは「身近な多様性」です。幸か不幸か私たちは本当に一部しか世界を認識できません。だから考えも行動も「不十分ではないか?」という指摘から逃れることはできません。ですがそれでも「自分は一人前のひとりの人間だ」と思って、毎日生き、いろんなことを考えるのではないでしょうか。私たちもまだまだ未熟ですが、隣にいる人がどれくらい自分と異なる見方を持っているか、ここに少しでも触れていただけたら幸いです。

 

 

インタビュー日:2020年1月29日

回答者:西道奎(京都大学総合人間学部3回生/エコ~るど京大)

 

 

Q:Goal10「人と国の不平等をなくそう」の中で興味のあるテーマは何ですか?

 

パレスチナ問題と在日朝鮮人問題です。

パレスチナ問題と在日朝鮮人問題は、異なる歴史をもち、それぞれの社会に独特な問題も抱えています。ですが、問題の根源を考えれば、共通点も見えてきます。今私が感じている限りで最も顕著だと思うのは、どちらしても、明らかな差別が存在しているのに、その事実を否定する言説、あるいは反対に、差別のある状況を当然視する態度が浸透することによって、現行の不正を訴える声が届きにくい傾向にあることです。

 

 

Q:なぜそのテーマに関心を持っているのですか?

 

関心を持っている理由は、おそらく、これらの問題が、自らの生きる社会に対する私の視界を広げ、同時に、物事の共通点を見出し普遍的に思考するきっかけを与えてくれたからです。私は朝鮮に自らのルーツを持っていますが、パレスチナ問題を通して初めてきちんと在日朝鮮人の問題に向き合いました。日々生きている社会のことだからこそ、気づいていなかったり目をそらしていたりするものです。他方、留学に来てパレスチナ・イスラエルで学んでいると、日本社会の問題と繋げて考えることで見えてくる部分が沢山あります。時に、日本・朝鮮、パレスチナ・イスラエルそれぞれの問題であることを超えて、社会問題の、あるいは人間存在の根源に関わる普遍的な問いへとたどり着くこともあります。世界にある様々な問題はどれをとってもきっと、アラカルトの問題にはとどまらず、その先にある根源的問いに繋がっているのだと思います。私にとっては、そのことを知らしめたのがパレスチナ問題と在日朝鮮人問題でした。

 

 

Q:それぞれのトピックに向き合うときに主体はどこにある、または誰であると考えますか?

 

「私たち」だと考えています。ある問題に関して、主体が「彼ら」であると考えている限り、それはその人にとっての真の「問題」とはならず、同情するにとどまってしまいます。パレスチナ問題に関して言えば、私は「当事者」ではありません。でも、私も、この問題の主体の一部だと考えています。先にも述べたように、私にとってパレスチナ問題を考えることは、自ら生きる社会について考えることでもあり、自分の存在とはなにかについて考えることでもあります。この世界にはたくさんの問題があり、そのすべてに主体として取り組むことはできません。ですが、「私たち」の問題として取り組んでいるものがあれば、それらを通して、きっと他の問題と繋がる時があります。何かに真剣に向き合おうとするならば、まず、それをいかに「自分事」にできるかが重要なのだと思います。

 

 

Q:SDGsが2030までの達成を掲げていますが、このパレスチナ問題、在日朝鮮人問題の不平等解消、実現するでしょうか?

 

改善はする、させなければないと思っていますが、2030年までに「解決する」ことには懐疑的です。解決に向かうには目標を建てなければいけませんが、どのような過程を辿って状況を改善していくのかも重要だと思います。仮に、ゴール10に関して、明日から全員を平等に扱いますと言うだけで解決するのであれば、すでに問題は解決しているはずです。でもそれができないのは、私たちの生活のあらゆる面に不平等が組み込まれているからだと思います。もっと言えば不平等の上に成り立っているともいえるかもしれません。ゴール10のターゲットには、経済基盤の強化や法改正が挙げられていますが、それだけではなく、私たち一人ひとりが、身近なことから、意識を変えてゆかなければ解決には至らないのではないでしょうか。

 

 

Q:西道さんはこの10年間、そのトピックについてどのように向き合っていこうと考えていますか?

 

身近な人に少しでも別の視点から考えるきっかけを与えられればいいと思っています。社会を変えるというと何か大きなことをしなければならないと思いがちですが、畢竟、社会を構成しているのは私たち一人ひとりです。

 

 

Q:上の過程で「SDGs」という概念をどれくらい意識しますか?

 

SDGsの良さは、世界的に共通な認識であることを示せるところだと思っています。例えば、不平等の是正に関することについて訴えたいとき、「SDGsのゴール10で謳われているように」と付け加えることよって、意見に裏付けを与えることができます

 

 

Q:SDGs17ゴールの中で不平等のゴールの特徴、立ち位置をどのように考えますか?

 

どのゴール(解決課題)についても言えるかもしれませんが、常に他の課題と関連を持ちながら存在していると考えています。貧困や飢餓の問題も、不平等に負うところが大きいでしょうし、陸の豊かさを損なうプランテーションも国家間の格差ゆえでしょう。ゴール10の達成には、他のゴールにも並行して取り組むことが不可欠です。

 

 

Q:最後に、Goal10を一言でいうと何ですか?

 

「『恩情』ではない、自戒と温情だ」

 

「不平等をなくそう」というスローガンにはたいてい、弱い立場にあるかわいそうな人々を支援してあげなければ、というような含みがある気がしてなりません。でも、支援する以前に、そもそもの不平等の原因に自分も加担しているかもしれませんし、あるいはまた、「かわいそうな人々」というレッテルで、彼/彼女ら自身の強さを無視してしまっているかもしれません。不平等を考えるにあたっては、「何かをしてあげる」というような姿勢でいるのではなく、自己/他者の関係を見つめ直すことから始めなければならないのではないかと思っています。

 

 

 

(以下白井のコメント)

ありがとうございました。

インタビューさせていただきながらその問題がどれだけ解決が熱望される問題でありそして目の前にいる人がどれだけの危機感をもってその中を生きているかということをびりびりと感じました。しかしその現実感の中に私はまだ自分を置けていないことに気づきながらやや後ろ髪をひかれるけれども、それでも腰は重たいまま動かしません。今しようと思わない、しようと気合を入れないことについてはやはりしないのではないかと思います。ただ一方でパレスチナ問題や在日朝鮮人問題などの不正を訴えていく姿は清々しくてかっこいい、だからそこから目をそらす自分は何となくカッコよくない感じもするのです。自分がどういう状況にあっても右を向くか左を向くかは決められる。それを強烈に実感しながら私は自分が何を選択してそれに対して私は自分自身にどう説明していくかそこにずっと向き合っていくのだと思います。すべてのことを身近に、自分事にはできないとある意味割り切りながら一つの問題、視点が他のあらゆることにつながる、視野が広がるような感じがします。しかし完全に不可能だと考えていたら何を罪に思うでしょうか。自分にもできることがあるように思えるからこそ問題を無視しているような意識があって、心が少し締まるような気持ちがするのではないかなとも思います。

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