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【京大!バイオスクープ file8】5月の野草 ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)

2023.05.22

学び 京大!バイオスクープ

複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回のご依頼はこちら「カラスノエンドウってなんでアブラムシがいっぱいつくのですか?」

確かに道端の野草を見てみると、明らかにカラスノエンドウにだけアブラムシが大量発生していますよね・・・。今回はカラスノエンドウについて紹介しつつ、アブラムシが好む理由も探っていきましょう!

ヤハズエンドウ(一般にはカラスノエンドウと呼ばれることが多い)
学名 Vicia sativa subsp. nigra マメ科ソラマメ属
開花時期 春から初夏
@吉田キャンパス内物理系校舎南側など多数

 

ヤハズエンドウは道端でもよく見ますよね!春先だと紫色の花がついているのが特徴的です。5月現在だと鞘がたくさんついているところを見かけます。

 

へぇ☆「スズメノエンドウ・カスマグサという似た種類もある」

 カラスノエンドウとして知名度が高いヤハズエンドウですが、よく似た種類の植物にスズメノエンドウ・カスマグサがあります。花が白っぽくて、葉・花・鞘ともに小さい(鞘は1cm程度)のがスズメノエンドウの特徴です。植物の名づけ方として、似た種類のうち大きい方を「カラス」、小さい方を「スズメ」とすることはしばしばありますね。例えば、カラスウリとスズメウリなどもその例です。

 そして、カスマグサは「カラス」と「スズメ」との「間」くらいの大きさであることから名づけられました。冗談みたいな名づけ方ですね。

 

へぇ☆☆「鞘が破裂することで種を飛ばす」

 

 ヤハズエンドウの鞘は熟すと黒く変色するとともに乾燥して固くなります。そして、鞘が破裂すると外向きに螺旋を描くように丸まり、その勢いで種を遠くに飛ばします。タンポポのように風で飛ばすわけではないので、京大内でもしばしば群生しているのを見かけますね。

 以下では、ヤハズエンドウの鞘が丸まる様子を動画にて記録しております。

 

へぇ☆☆☆「食べられる。しかもおいしい」

 スナップエンドウに似ている見た目通り、古代には食用とされていたそうです。現在では「食べられる野草図鑑」などでも取り上げられることが少ないですが、今回試しに鞘をゆでて食べてみました。

 

一つ一つが小さいので収穫効率はあまりよくなく、また筋が固いのでスナップエンドウほどの便利さではないですが、苦味は全くなく、ほんのりとマメの風味がしてとてもおいしいです。「食べられる野草」と言われているものの多くは実際には苦味が強く、天ぷらなどでごまかす必要があるのとは対照的です。

 畑などでも、小松菜などの葉物野菜に多くアブラムシが発生します。人間にとっておいしい草は、アブラムシにとってもごちそうなんでしょうね。

 

 現在は厄介な雑草というイメージも強いヤハズエンドウですが、かつては人類の食生活を支え、今でも生態系を育む植物です。次に見かけたときは、ぜひ足を止めて観察してみてください。

 

ヤハズエンドウは、おいしくて強い優秀な奴だった。

 

————以下お知らせ————–

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