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燃焼・動力工学研究室 / 塩路 昌宏【京都大学エネルギー科学研究科 教授】 (No.9)

2012.07.17

学び

  • みなさんこんにちは。
  • さて、本コーナーのNo.9ですが、今年度からの新しい取り組みとして、教授にインタビューを行うという形式を採用しています。

今回は、インタビュー第一弾ということで、環境賦課金制度の運用に関わる環境エネルギー専門小委員会の委員長である塩路先生にお話を伺いました!

研究室ではどのような研究をされていますか?

主にはエンジンの燃焼についてですね。排気ガスをきれいにするといったことや、エンジンの性能を向上させること、代替燃料を上手に使うといったことをやっています。研究内容としては、エンジンの高効率化とクリーン化、代替燃料エンジンの利活用、燃焼改善と代替燃料利用のための基礎実験、エンジン燃焼モデル・シミュレーションの開発といったような内容を扱っています。基礎実験では、定容燃焼器と呼ばれる装置を用いて、エンジン燃焼を単発模擬し、燃焼過程を解明するといったようなことをやっています。

  • 写真1 : 定容燃焼装置             写真2 : 水素エンジン開発

 

研究室の学生はどのようなことをされていますか?

基本的には、今述べたようなことですが、燃焼工学を幅広く扱っているので、いろんなことをしています。僕の研究室では、原則的に学生の主体性に任せることにしていて、雰囲気なんかも和やかですよ。あと、これは生徒たちが自主的にやっていることですが、全日本学生フォーミュラー大会に出場したりもしています。京大もあと少しで優勝する所まで来ているのですが。

 

先生は学生時代には何をされていたのですか?

実は僕はずっとここにいるんです。学部生の時は、工学部の機械工学科でした。とは言っても、その時はまだ、エンジンに強い興味を持っていたわけではなくて、研究室に配属される時に、ふと「水素エンジン」という言葉に惹かれたんですよね。それで研究を始めたのがきっかけでした。その後はずっと京都大学にいます。最近は、環境省中央環境審議会や、国交省のいろいろな委員会,検討会の委員をしていて,研究室に顔を出す時間がなかなかとれなくなっていてね…

 

こんなお話も伺いました!

『実は、可採年数は資源量が少なくなっても減らないということを話すと、意外にも多くの人が驚かれます。可採年数が50年だと言うと、資源が50年でなくなると思われているんですね。実際は値段が上がったりして、可採量が増えることと省エネが進むことで、少しずつ伸びるんです。僕がまだ学生の頃は、今よりも可採年数が短かったんですよ。』

少し考えればわかりそうなことですが、思い返せば僕も、可採年数に対してそのような認識でした。可採年数に限らず、環境問題についての講演などを聞くとよく、50年後はどうなっているか、といったような話を聞きます。計算する際にはもちろん様々な要因を考慮に入れるとはいえ、何が起こるかなんて、正確にはわかりませんよね。

『車の後ろに星マークがついているのを見たことはありますか?最近では、よく見かけると思うのですが。環境基準というものがあって、それを守るために排出ガスに規制値を設けています。それをクリアしないと車を市場に出すことができないのですが、星マークはその一つの指標です。排気ガスが環境基準の25%以下のきれいさなら四つ星がつきます。今ではもう、空気の汚い道路を四つ星の車が走ると、排出ガスの方が綺麗な事もあるんですよ。エンジンの機構の中にはフィルターがありますから。ディーゼルエンジンは燃費が良いのですが、排出ガスはまだそれほど綺麗というわけではありません。日本では、ほとんどバスやトラックにしか使われていませんが、ヨーロッパでは乗用車の5割くらいはディーゼルエンジンだったりします。国や地域によるニーズの違いも面白いですね。』

今はもう、車が通ったら空気が汚くなる時代ではなくなってきているのですね。空気が綺麗になるというのは四つ星の車だからということですが、これからはどんどんそういう車が増えていくのでしょう。将来的に「排気ガスはきたない」という認識が消える日も、そう遠くないうちに来るのでしょうか。

 

文責:奥本隼也

研究室のホームページのURL:http://cpel.energy.kyoto-u.ac.jp/

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