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【京大!バイオスクープfile11】6月の野鳥 ツバメ

2023.06.12

学び 京大!バイオスクープ

文責・喜安

複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回のご依頼はこちら「ツバメについて詳しく知りたいです!」

 

ツバメ
スズメ目ツバメ科
Hirundo rustica
全長:17cm
分布:北海道南部以南
季節:夏鳥。まれに日本で越冬。

 

北部農場

 

ツバメは夏鳥の代表です。多くの方にとって身近な存在でしょう。今回は、そんなツバメについてもっと知りたいというご依頼にお応えします!

 

へぇ☆「土食って虫食って渋ーい」

ツバメは春になると繁殖のため、東南アジアや台湾から日本に渡ってきます。まれに日本で越冬する個体もいますが、ほとんどのツバメは9月ごろになると再び南に向かいます。日本にいる間、ツバメはまずつがいを見つけ、泥や枯れ葉で巣作りをし、産卵、そして子育てと大忙し。そんなツバメを古くから日本人は優しく見守ってきました。ツバメは農家にとって、害虫を食べてくれる益鳥です。ツバメにとっても、人はカラスなどの天敵から巣を守ってくれる存在。ツバメと人は、相利共生関係にあるのです

ところで、ツバメのさえずりは「土食って虫食って渋ーい」と表現されます。このように、鳥の鳴き声を人間の言葉に置き換えたものを「聞きなし」といい、他にウグイスの「法、法華経」やホトトギスの「特許許可局」などがあります。ツバメの聞きなしは有名ですが、どう聞いても「土食って虫食って渋ーい」とは聞こえません…。でも、巣を作るために泥を口に入れ、虫を食べるという、ツバメの生態を反映している点で面白い聞きなしですね。

ツバメ(撮影地:京都市)

 

 

へぇ☆☆「日本のツバメは5種類

ツバメの仲間は世界中に約80種類分布していますが、日本では5種類が見られます。ツバメ、リュウキュウツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、ショウドウツバメです。アマツバメやハリオアマツバメという鳥をご存じの方もいるかもしれませんが、これらはツバメの仲間(スズメ目ツバメ科)ではなく、アマツバメ目アマツバメ科に分類されます。ツバメの仲間のうち、京大でよく見られるのはツバメコシアカツバメの2種類です。京大の北部構内の農場を舞うツバメを観察してみてください。実は、ツバメだけでなく、コシアカツバメも混じっているんです!コシアカツバメはツバメより約1カ月遅くに夏鳥として飛来し、西日本に多く分布します。腰が赤く、腹に斑点があるのが特徴です。また、ツバメの巣がお椀型であるのに対し、コシアカツバメはとっくり型の巣を作ります。

コシアカツバメ(撮影地:京都市)

 

コシアカツバメの巣(撮影地:京都市)

 

へぇ☆☆☆「ツバメの数は減少中

ツバメは身近な野鳥ですが、実は数が減少傾向にあることが、各地の調査から推測されています。ツバメの減少要因として、以下の二つが挙げられています。

①里山の衰退や農耕地の減少

現在、独特な生態系を育んできた日本の里山の自然が衰退しています。また、農耕地も減少傾向にあり、ツバメの餌となる虫が少なくなっています。

②西洋風の家屋の増加

ツバメは軒先に巣を作りますが、軒のない西洋風家屋が増加し、ツバメが巣を作れる環境が減ってきていると言われています。

また、最近は人間によって巣を壊されるケースも見られます。ツバメのフンが汚いという理由が背景にあるようです。しかし、ツバメの巣の下に段ボールと粘着テープで手軽にフン受けを設置することができます。中に新聞紙を入れて定期的に取り換えれば、フン受けも清潔に保てます。また、フン受けと巣を50cm以上離すことで、カラスがフン受けを足場として巣を壊してしまう事態を避けることができます。おうちにツバメが巣を作って困っているという方がいらっしゃいましたら、是非試してみてください!古くから続いてきた人とツバメの共生関係、これからも続いていくといいですね。

ツバメ(撮影地:岸和田市)

 

 

ツバメは人と深い関わりを持つ野鳥だった。

 

参考文献

“BIRDER 2023年4月号 特集 ツバメ大解剖”. 文一総合出版. 2023, 79p.

蒲谷鶴彦. “日本野鳥大鑑 増補版 鳴き声420”. 小学館. 2001, 447p.

日本野鳥の会.”ツバメってどんな鳥?” https://www.wbsj.org/activity/conservation/research-study/tsubame/whatis/

日本野鳥の会.”ツバメの現状”. https://www.wbsj.org/activity/conservation/research-study/tsubame/decrease/

(参照:2023年6月3日)

 

※写真の無断転載を禁止します。

 

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