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【京大!バイオスクープ file12】6月の野草 ドクダミ

2023.06.19

学び 京大!バイオスクープ

文責・横井

複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回のご依頼はこちら「ドクダミはなぜ密集して生えているのですか?」
ドクダミも学内外問わず様々な場所で見かける野草ですよね。そのにおいに負けず劣らずクセの強い植物なので、ぜひ詳しくみていきましょう!

蕺 -ドクダミ
学名 Houttuynia cordata ドクダミ科
開花時期 5~8月

@吉田キャンパス本部構内法経本館北側など多数


ドクダミは薬草やお茶としてのイメージも強いですよね。身近なところでは爽健美茶にもドクダミが含まれています。記事後半では実際にドクダミ茶を作ってみた感想もご紹介しますのでお楽しみに!

 

へぇ☆「地下茎が発達している」

ドクダミが密集して生えている理由は、地下茎が発達していることにあります。そのためドクダミが生息しているところでは他の草が生えにくいですし、ちぎれた地下茎からでも発芽してくるため非常に生命力が強いです。においも相まって厄介な雑草として扱われることもしばしばある植物です。そこまで害虫を呼びつけないので人間に害はあまりないんですけどね・・・。

へぇ☆☆「白い部分は花ではない」

今の時期ドクダミは花をつけますよね。真っ白な花を皆さんも一度は見たことがあるはず・・・と思いきや、白い部分は苞(ほう)と呼ばれるつぼみを包む葉です。白い苞の上に黄色の毛に似た突起がたくさん生えている突起が出ています。実は、この黄色い部分一つ一つがドクダミのです。

へぇ☆☆☆「染色体数がいろいろ」

生物は、種によって染色体数が固定である場合が多いですが、ドクダミの場合は2n=72,80,96,112,128など様々なパターンがあるようです。(https://doi.org/10.3199/iscb.2.87)論文中では東アジアの中でも地域によって染色体数の分布が違うことも紹介されているので、興味のある方はぜひ眺めてみてください!

 

さて、せっかくドクダミが生い茂る季節なので、ドクダミ茶を作ってみました!まず、茎ごとドクダミを刈り取って乾燥させます。

正直、ここが最大の難所です。梅雨時に被るので、晴れが続く時期を見計らってお茶づくりを始めないとちっとも乾燥しません。私も記事の提出が迫っていたのに全然乾かず、乾燥機を使ってしまいました(ああ、環境負荷が高いお茶になってしまった・・・)。

 

さて、まずはこれを包丁で細かくしただけでそのままお茶として飲んでみます。

色は薄いですね。ただ、お湯を注いだ瞬間から異変が生じます。湯気と一緒にドクダミのにおいが強烈に上がってくるのです。「良薬は口に苦し」なんていいますが、それ以前に飲む人を躊躇させにきます。とても苦そうなにおなので正直記事を書く用事がなければ飲みたくないですが、今回は飲んでみましょう・・・。

 

全く苦くありません。渋みは少々あるものの、煎茶の方がよっぽど渋みが強いです。一言でいえばまろやかな緑茶といった味。すごくおいしいです。ただ・・・喉を通るたびにドクダミのにおいが鼻を通過します。主張強いな・・・。

 

ドクダミ茶のレシピによっては、この後乾煎りするものも多いので、フライパンで2~3分煎ってみました。ネット情報によればにおいが飛ぶとか・・・?

そしてお茶を淹れてみます。

湯気とともに上がってくるにおいは・・・確かに香ばしい香りになりました!ただ・・・ドクダミのにおいも相変わらず健在です。飲んでみても・・・同じ感想ですね。香ばしさが追加されていますが、ドクダミのにおいも残っています。もっと長い時間煎って完全ににおいを飛ばす手もありますが、ドクダミのにおい成分こそが薬効成分なので、ドクダミ茶の存在意義が揺らいでしまうような・・・。

おそらく多くの人はドクダミのにおいだけ嗅いだことがあるかと思います。においからはとんでもなく不味そうな印象を持ちますが、味は全然そんなことはありませんでした。お茶を作って飲んでみれば、ちょっとイメージアップするのではないかと。

 

ドクダミは鼻にのみ苦し。

 

参考文献

Kazuo Oginuma, Hisako Sato, Yoshiko Kono, Shaotien Chen, Zuken Zhou, Ching-I. Peng, Arata Momohara, Tomohisa Yukawa, Hiroaki Setoguchi, Intraspecific polyploidy of Houttuynia cordata and evolution of chromosome number in the Saururaceae, Chromosome Botany, 2007, Volume 2, Issue 3, Pages 87-91

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