京都精華大学は構成員数が約4500人(2007年現在)で、敷地面積約20万平方メートルの大学である。学部は人文学部、芸術学部、デザイン学部、マンガ学部から成り、かなり特徴的な構成になっている。
京都精華大学の環境への取り組みは、2004年度文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム」に「自立した学習者による社会貢献の実践教育~環境マネジメントシステムの構築を通じて~」が採択され、また以下に示すような受賞歴があるなど、外部からも高い評価を受けている。
- ・2005年度 フジサンケイグループ主催「第14回地球環境大賞」優秀環境大学賞
- ・2005年度 京都府主催平成17年度「京都府トップランナー」
- ・2006年度 株式会社システム企画社主催「第1回環境マネジメント大賞」内部監査賞
- ・2008年度 グリーン購入ネットワーク主催「第10回グリーン購入大賞」審査員奨励賞受賞
- ・2009年度 京都市主催「第6回京都環境賞」特別賞環境教育賞
●1、京都精華大学の環境マネジメントシステム
京都精華大学は2000年3月25日にISO14001の認証を取得した。
日本の大学で初めて学生を構成員として扱い、キャンパス全体をサイトとして認証取得した。認証取得の目的として
- 1.環境社会学科設置に伴う、学内でのフィールドの提供
- 2.芸術学部での環境リスク管理
- 3.環境をキーワードとするコミュニケーションの活性化
- 4.環境問題の解決のための社会貢献
が挙げられており、2000年4月の人文学部での環境社会学科開設が大きな契機となっている。
●2、学生のマネジメントシステム参加の仕組み
2003年度から人文学部の新入生には、正課のカリキュラムの一貫として環境問題と環境マネジメントシステムについて学ぶ時間が設けられている。 環境社会学科の2年生は前期でISO14001の専門知識を学び、後期には内部環境監査を行い、その際には学長から正式に内部環境監査員として指名される。 環境社会学科環境系コースの3年生の学外実習では、高校や自治体の環境マネジメントシステム構築支援が実習として設けられている。 このように、学生がシステムの運用を通して主体的に学習するような場が設定されている。
●3、それぞれの専門に応じた環境への取り組み
京都精華大学には芸術学部、デザイン学部、マンガ学部という美術系学部が3つもある。 レクチャーや作品製作のテーマに「環境」を取り上げたり、創作活動に伴って生じる廃棄物の発生量を抑える工夫をしていたりする。 このように創作活動を通して環境意識を持たせる教育を行っているため、大学で学んでいることを生かし、学外において創作活動を通じて環境への貢献をしている学生も出てきている 。下水道施設における水をテーマにした壁画や産業廃棄物処理施設における「地球のいのち」をテーマにしたウォールアートの製作、リユース食器のデザイン、 「京都環境ポスターコンクール」への出品・入選などである。
●参考文献
- ・京都精華大学 http://www.kyoto-seika.ac.jp/index.php
- ・京都精華大学環境報告書2005
- ・京都精華大学環境報告書2008
- ・私立大学環境保全協議会・ISO14000委員会編著『大学のISO14000-大学版環境マネジメントシステム』研成社、2004年
文責 根本潤哉(環境保全センター研究支援推進員)