文責・島田草太朗
複雑な生態系を少しでも理解し、さまざまな自然を徹底的に究明したい京大!バイオスクープ。今回のご依頼はこちら「どうしてナメクジはいつも上へと壁を登るの?」
鋭い観察眼です。私たちが昼間にナメクジを見かけるのは主に雨の日ですが、肺呼吸のナメクジは溺れ死なないために壁を登ると言われています。この上へ登ろうとする性質は生まれながらに持っている、本能的性質である、と言われています。重力の方向を感知する平衡覚を持っている証拠でもあります。
今回は、そんな本能的性質としての行動の傾向以外にも、陸貝が生涯の中で「学習」して行動の傾向を獲得する、という話などを紹介します。
陸貝
陸生の軟体動物(貝類;Molluscs)のこと。(今の所)陸貝は腹足類(巻貝類;Gastropods)のみ。京大構内でよく見られるのは、所謂でんでんむしやカタツムリやナメクジと聞いてイメージされるものなどの、直腹足亜網(Subclass orthogastropoda)Apogastropoda(下網)異鰓上目(Heterobranchia)有肺類 (Pulmonata)柄眼目(Stylommatophora)の一部。
目次
⚫︎後編:陸貝の行動
・へぇ☆☆☆☆「「アジサイにカタツムリ」は本当なのか。」
・へぇ☆☆☆☆☆「カタツムリの一瞬」
・へぇ☆☆☆☆☆☆「学習し、思考し、葛藤する陸貝。」
・へぇ☆☆☆☆☆☆☆「動物の行動の起源!?」
前編では主に、陸貝の身体のつくり、ボディープランを解説してきました。とても面白いですよね??ですが、陸貝の面白さは身体だけに現れるものではありません、その身体がどう機能するか、その行動にも陸貝の面白さが詰まっています。
へぇ☆☆☆☆「「アジサイにカタツムリ」は本当なのか。」
あなたは梅雨と聞いてどんな情景を思い浮かべますか?「アジサイにカタツムリ」は間違いなくそんな情景の典型の一つでしょう。しかし、どうして私たちは「アジサイにカタツムリ」という情景を思い浮かべがちなのかと言えば、実際に現実にその状況を直接目撃することが多いからではなく、人工的に描かれたものを介して間接的に植え付けられた心象なのではないでしょうか。では、実際の所、現実にはどうなのでしょうか。
ネットには「アジサイにカタツムリは嘘」「アジサイには毒が有るからカタツムリがそこに乗るのは非現実的」と言った主張が見掛けられます。のほほんとネットを眺めてる時にそんな主張を目にすると信じてしまいそうですが、多くは飛躍した推論による俗説であって、統計や緻密な根拠に基づくものではありません。「地球は丸いは嘘」然り、義務教育等で植え付けられた心象に対する「それは実は嘘」という言説は私たちを誘惑し拡散され易いもので注意が必要です。科学的にそうした主張を立証したり反駁したりするのは、そもそもその主張がどういう意味なのかを示すことは、綿密な過程や説明を踏まれなければならず、そう簡単に正しそうというだけでは何も言えない、ということを肝に銘じたいものです。
では実際のところ「アジサイにカタツムリ」を検証するとどうなるのでしょう。論文[4]はそうした検証の一端を示しています。この論文で示されているのは、実際に街中のどの植物に陸貝がいるかという調査と、植物の選択肢が提示された時に陸貝がどちらを選択するかという実験と、それらの結果です。
調査地は山梨県上野原市帝京大学付近の5ヵ所で、2006年の5月から7月にかけて行われた調査ではのべ406個体の陸貝が発見され、特に多かったのがミスジマイマイ(Euhadra peliomphala:180個体)とウスカワマイマイ(Acusta depecta sieboldiana:153個体)でした。発見場所の植物種は、ミスジマイマイの 75.0% がアジサイで、12.8% がサクラで、12.2% がその他の植物で、イネ科植物では見つからないという結果でした。またウスカワマイマイの 6.5% がアジサイ、2.0% がサクラ、18.3% がイネ科植物、73.2% がその他植物となりました。この結果は、特にミスジマイマイでは、[4]によれば、どの植物種の上に分布するかが無作為に決定されると仮定した場合と比較して統計的有意にアジサイに分布が偏っていると結論付けられるものです。月別でみても5から7月のいずれの月でもミスジマイマイはアジサイへ偏った分布をしていると結論付けられています。この結果だけでも少なくとも「アジサイにカタツムリは嘘」は嘘だと言えそうです。現地調査ではまだ更に興味深い結果が示されています。貝殻に印をつけることで行われた個体識別の結果からは、アジサイで発見されたミスジマイマイは他の植物で発見される機会が比較的少ない、アジサイで見つかった個体はアジサイでしか見つからない確率が比較的高い、ということも示されました。
しかし面白いのはもう一方の実験結果です。野外調査の結果だけ見れば、ミスジマイマイはアジサイを「好む」ように見えます。しかし[4]の実験では、アジサイと他の植物とが同時に置かれた時、ミスジマイマイはアジサイより寧ろ他の植物の方を選択するという結果だったのです。つまり野外調査で観察されたミスジマイマイによるアジサイの選択的利用はアジサイへの嗜好性とは別の要因なのです。では別の要因とは何か。ここに、「アジサイにカタツムリは嘘」という言説の根拠にされたアジサイの毒が、「アジサイにカタツムリ」の要因に逆転するかも知れません。アジサイの回(https://eco.kyoto-u.ac.jp/?p=9059 )でも紹介された通り、アジサイの葉には青酸配糖体が含まれていて、例えば牛や豚等の脊椎動物がアジサイの葉を食べると下痢や筋肉の引きつり等の症状を引き起こします。だから多くの植物食動物はアジサイを利用しません。陸貝にとってアジサイは植物食動物と競争しなくて済む安定した資源と言えるのです。この様に別の植物食動物と競争にならない資源を選択的に利用することはヒメリンゴマイマイ(Helix aspersa)を用いた別の研究[5]でも示唆されています。つまりアジサイは、毒を持つからこそ安定した資源であり、それがミスジマイマイがそこにいる要因と考えられるのです。
陸貝は葉っぱを食べるとは限りません。葉の表面についた緑藻を食べたりします。また、ミスジマイマイはアジサイの茶色い枝の皮をバリバリ音を立てて食べる、という観察をしたサイエンスライターの報告記事もあります:驚きの事実を発見! カタツムリがアジサイにいる本当の理由とは? – 講談社の動く図鑑MOVE|講談社(https://cocreco.kodansha.co.jp/move/news/repo/BzbnH )
「アジサイにカタツムリ」というイメージはミスジマイマイに於いては確かに生物学的に確かな現象であると言え、そしてそれはアジサイの毒性を逆手に取った戦略である可能性も見えてきました。しかし、ミスジマイマイは関東では代表的なカタツムリですが全国に分布する種ではなく、関西などのカタツムリがどうなのかの研究は見当たりません(2024/10/27時点)。もしかすると「アジサイにカタツムリ」の「カタツムリ」はミスジマイマイのことであってそのイメージが絵柄として全国的に広がったのかも知れません。
へぇ☆☆☆☆☆「カタツムリの一瞬」
いきなりですが、「環世界」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。環世界(かんせかい; Umwelt)とは、特定の生物が感覚し、活動する世界、その生物がまさに生きて経験している主観的世界のことです。環世界という概念は、エストニア出身のドイツの生物学者であるヤーコプ・ヨハン・バロン・フォン・ユクスキュル(Jakob Johann Baron von Uexküll; 1864-1944)により提唱されました。ユクスキュルが生きた当時は、産業革命という時代背景に後押しされて生物を機械として捉える機械論的生物観が自然科学の主流にあり、それらは機械のように部品に分解でき各部品は基本的構成要素(性質等)に分解でき、そんな機械としての仕掛けを理解することこそその生物の理解することだという考えが主流の時代でした。ユクスキュルは環世界という概念を提唱することで、生物は機械ではなくその操作系である、客体でなく主体である、と訴えたのです。私たちが「外側」に見えるように感じる世界や環境も、人間という主体との相互作用で生じた主観的なものでしかなく、また、「コウモリであるとはどういうことか」( “What is it like to be a bat?” 米哲学者トマス・ネーゲル(Thomas Nagel)が1974年に発表した問)に答えることはコウモリと呼ばれる物体の仕掛けを(そういった人間主観の世界感で)理解することでは達成されず、環世界論でなければならず、環世界論こそが生物学に相応しい、といった具合の思想です。しかし他生物の主観を知ることは不可能だと或程度ユクスキュルも認めます。そこでユクスキュルは生物の行動に着目し、環世界論は現在動物行動学と呼ばれるものの先駆となったのです。
そんなユクスキュルは1933年出版の本([6])の中でカタツムリに触れています。「カタツムリの一瞬」を探り、私たちの知る「時間」も主観的なものでしかないことを示すためです。ユクスキュルの実験の中で、カタツムリ(リンゴマイマイ;Helix pomatia)は、目の前に棒を差し出せば登って来ようとしますが、1秒間に1〜3回その棒でカタツムリをつつけば棒を避けます、棒が不安定だからです。しかし同じことを1秒間に4回以上行えば、ただ棒を差し出した場合と同様に棒を登って来ようとするのです。奇妙な行動に思えますが、ユクスキュルはカタツムリの環世界を考えることでこの奇妙さを解消します。つまり、「カタツムリの一瞬」が1/4秒より長く1/3秒以下の時間であるのだと言うのです。どういうことか。これは擬人化なのでヒトに照らし合わせて考えてみましょう。
「ヒトの一瞬」は1/60から1/15秒です。どういうことか。例えば私たちは動画を「滑らかな映像」として、映像でない現実の動きと同じ滑らかさを、体感しますが、実際はコマ送りであって、静止画の連続を見ていて、コマ送りの残像なのです。滑らかなのは、静止画から次の静止画への移行が1/30秒だったり、「ヒトの一瞬」かそれよりも短い時間間隔で行われているからです。また、電球の光をスロー撮影するとちかちか点滅しているように見えるという経験が有る方も多いかと思いますが、あれは実際に点滅していて、しかし「ヒトの一瞬」以内の出来事故に普段点滅に気が付かないのです。
つまりここで言う「一瞬」とは、それより短い時間に起こる変化は知覚できないという意味(定義)です。そして 1/(一瞬) を時間分解能(temporal resolution)と言います。ヒトの時間分解能は 15~60 Hz 、カタツムリの時間分解能は約 4 Hz というわけです。ユクスキュルは実験で、カタツムリは1/4秒間隔で起こる棒の変化を知覚出来ずに静止した棒として知覚している、ということが示された、としているのです。
ユクスキュルの主張に従ってカタツムリをもう少し擬人化して見てみましょう。カタツムリ専用の映画館を考えて下さい。この上映する映画のコマ送りは1秒間に4コマで十分です。何故ならそれよりコマを増やしても「カタツムリの主観」では関係無いからで、それでカタツムリには「滑らかな映像」になるからです。この擬人化をヒトの感覚に落とし込めば、カタツムリの環世界の時間の流れが分かるかも知れません。つまり、1/4秒毎に一枚の写真を撮影して一枚一枚が一コマの映画を作り、それをカタツムリ専用映画館ではなく私たちの映画館、1/15や1/30秒間隔でコマを移行する映画館で上映したら、その映像に流れる時間がカタツムリが体感している時間という風に考えられなくもないわけです。明らかにそれは私たちには4-8倍速といった早送りの世界です。のんびりしているような陸貝ですが、実際はちっとものんびりせず何もかもが目まぐるしく起こるような世界を生きている、とも思えてくるわけです。
とは言っても、結局、知り得たのは「環世界」というよりカタツムリの単なる行動様式です。「環世界」そのものは科学(更に言えば知識)の中に還元できないというのが恐らく大方の共通認識でしょう。しかしユクスキュルが行ったような陸貝の行動観察は現在も受け継がれ、脳科学や神経科学、学習理論等の文脈で、多くの興味深い結果を見せてくれています。
へぇ☆☆☆☆☆☆「学習し、思考し、葛藤する陸貝。」
前編で紹介した通り、カタツムリやナメクジなど、陸貝にも脳が有ります。収斂進化の産物で、脊椎動物とは独立した系統発生を辿ったからこそのパラレルワールド的魅力が有る、と言いました。そんな陸貝の脳や神経の働きを調べる「陸貝の脳科学・神経科学」とも呼ぶべき研究では、ユクスキュルの実験同様、様々な状況下で陸貝の行動を観察することから多くの知見を得ています。触覚でにおいを記憶するという話もそうした知見の一つです。他にどんな行動を見せるのか、幾つか紹介します。
比較的盛んに研究されているのが、学習です。ここで言う「学習」とは、何らかの経験の後で行動が変わることです。理解の助けとなるよう、少し用語解説を挟んで措きます:
古典的条件付け(classical conditioning)又はパブロフ型条件付け(Pavlovian conditioning)とは、無条件刺激(US)への自然な反応として起こる無条件反射が、無条件刺激(US)に新しい刺激(条件刺激、CS)を関連付けて学習した結果として起こり方はどうなるか、という話です。生理学者イワン・パブロフの犬の実験が有名で、以下の構成要素の組合せ次第で条件付け学習の種類が様々に分かれます:
無条件刺激(Unconditioned Stimulus, US)
— 学習せずとも自然に(本能的な)反応を引き起こす刺激(例:食べ物)。
無条件反射(Unconditioned Reaction, UR)
— 無条件刺激(US)に対する自然な反応(例:唾液分泌)。
条件刺激(Conditioned Stimulus, CS)
— 元々反応を引き起こさなかった刺激(例:ベルの音)だが、無条件刺激(US)と組み合わされる(学習する)ことで、特定の反応(条件反射CR)を引き起こすもの。
条件反射(Conditioned Reaction, CR)
— 学習の結果、条件刺激(CS)に対して引き起こされる反応(例:ベルの音で唾液が出る)。
実は陸貝でも、この条件付けプロセスで行動観察する研究が多く行われてきたのです。例えば陸貝は、学習理論の用語で言えば、次の①〜⑧のような学習行動を示すことが知られています。実際に陸貝で確認されたものを例として箇条書きで添えています:
① 一次条件付け(first-order conditioning)
条件刺激(CS)を無条件刺激(US)と直接結びつけて、条件反射を学習する最も基本的な形式の条件付け。例えば「パブロフの犬」だと、ベルの音(CS)と食べ物(US)をペアリングすることで、犬がベルの音に対して唾液を分泌する(CR)ようになった。
・ヒメリンゴマイマイ(Helix aspersa):りんごの匂い(条件刺激CS)がする時ににんじん(無条件刺激US)が得られるという状況が繰り返された(条件付けされた)後、りんごの匂い(CS)のみでにんじん(US)を期待する仕草(触覚を下げる:条件反射CR)を(条件付け前よりも)見せるようになった([9])。
・マダラコウラナメクジ(Limax maximus):初めて食べる餌(条件刺激CS:マッシュルーム)を食べると同時に不快感を与え(無条件刺激US:二酸化炭素を吹きつけ)ると、その後数週間、その餌(CS:マッシュルーム)に食い付かなくなった([7])。
② 二次条件付け(second-order conditioning)([8],[9],[10],[12])
一次条件付けで学習した条件刺激(CS1)を使って、新しい刺激を条件付けすること。例えば犬だと、ベルの音(CS1)で更に特定の光(CS2)を条件付けし、その光だけで唾液分泌(CR)を引き起こさせること。
・ヒメリンゴマイマイ(Helix aspersa):りんごの匂い(条件刺激CS1)とにんじん(無条件刺激US)とを同時に与えるという一次条件付けの後で、りんごの匂い(CS1)とバナナの匂い(条件刺激CS3)とを同時に与えた結果、にんじん(US)とは一次条件付けされていないバナナの匂い(CS3)だけで触覚を下げ(条件反射CR)た([9])。
・マダラコウラナメクジ(Limax maximus):にんじんの匂い(条件刺激CS1)とキニジン硫酸水溶液の匂い(無条件刺激US:ナメクジが嫌がる苦味)とを条件付けた後に、にんじんの匂い(CS1)とじゃがいもの匂い(条件刺激CS2)とを条件付ければ、じゃがいもの匂い(CS2)も避けるようになった。つまり、じゃがいもの匂い(CS2)にキニジン硫酸水溶液の匂い(US)が紐付けられた([12])。
③ 遮断(blocking)([8],[9],[10],[12],[14])
既に条件付けされた刺激(CS1)が存在する場合、同時に提示された新しい刺激(CS2)への条件付けが妨げられる現象。例えば犬だと、最初にベルの音(CS1)と食べ物(US)を条件付けた後に、ベルの音と光(CS2)を同時に提示しても、光(CS2)への条件付けはほとんど起こらないこと。
・ヒメリンゴマイマイ(Helix aspersa):先ず、りんごの匂い(条件刺激A)がするとにんじん(無条件刺激U)が食べられるという一次条件付け学習をする。次に、りんごの匂い(A)と西洋梨の匂い(刺激B)が同時にする場合(条件刺激AB)と、バナナの匂い(刺激C)といちごの匂い(刺激D)が同時にする場合(条件刺激CD)との、両方の場合でにんじん(U)が食べられるという条件付け学習をする。これらの学習後に、西洋梨の匂いのみ(B)を与えた時の反応と、いちごの匂いのみ(D)を与えた時の反応とを比べれば、前者よりも後者の方でにんじんを期待する反応(触覚を下げる:条件反射)を見せる([14])。りんごの匂い(条件刺激A)とにんじんが食べられること(無条件刺激U)とを結び付ける一次条件付けの学習が、りんごの匂いと西洋梨の匂いとが同時に与えられた時(条件刺激AB)に(にんじん(U)が食べられるのはにんじん(U)とりんごの匂い(A)との関連であってにんじん(U)と西洋梨の匂い(B)との関連ではないと、)にんじん(U)と西洋梨の匂い(B)とを結び付ける学習を遮断(blocking)するのであり、その結果西洋梨の匂い(B)はいちごの匂い(D)よりにんじんとの結び付きが薄いものと学習されたのである、と、言える。
・マダラコウラナメクジ(Limax maximus):にんじんの匂い(条件刺激CS1)とキニジン硫酸水溶液の匂い(無条件刺激US:ナメクジが嫌がる苦味)とを条件付けた後に、にんじんの匂い(CS1)とじゃがいもの匂い(条件刺激CS2)に同時に曝されることとキニジン硫酸水溶液(US)とを条件付ける訓練を行った結果、じゃがいもの匂い(CS2)を嫌がったりはしなかった([12])。にんじんの匂い(CS1)がキニジン硫酸水溶液(US)とを結び付ける学習が、じゃがいもの匂い(CS2)とキニジン硫酸水溶液(US)とを結び付ける学習を遮断(blocking)したのである。にんじんの匂いとじゃがいもの匂いが同時にする時にキニジン硫酸水溶液の臭いもするのは、にんじんの匂いとの関連であって、じゃがいもの匂いとの関連ではない、という具合だろう。
④ 感覚的予備条件付け(sensory preconditioning)([9],[16])
二つの(条件)刺激(CS1, CS2)が事前に組合わされていると、一方の刺激が無条件刺激(US)と結びついた場合、もう一方の刺激も条件反射を引き起こすようになる現象。例えば犬だと、光(CS1)と音(CS2)を事前にペアリングし、その後音(CS2)と食べ物(US)を条件付けると、光(CS1)も唾液分泌を引き起こす(CR)ようになること。
・ヒメリンゴマイマイ(Helix aspersa):りんごの匂い(条件刺激CS1)と西洋梨の匂い(条件刺激CS2)を同時に与えることを最初に繰り返した後、りんごの匂い(CS1)とにんじん(無条件刺激US)を同時に与えるという一次条件付けを行うと、西洋梨(CS2)に対してもにんじん(US)を期待する動作(触覚を下げる:条件反射CR)を示す。興味深いことに、この動作はりんごの匂い(CS1)と西洋梨の匂い(CS2)それぞれを(同時でなく)別々ににんじん(US)と一次条件付けした場合よりも強く確認された、触覚を下げる回数が多かった([9])。
・キイロナメクジ(Limax flavus):にんじんジュースの匂い(条件刺激CS1)に2分さらした直後にきゅうりジュースの匂い(条件刺激CS2)に2分さらしてにんじんジュースときゅうりジュースの間の一次条件付け(CS1-CS2)をした後、きゅうりジュースの匂い(CS2)に2分さらした直後にキニジン硫酸水溶液の匂い(無条件刺激US:ナメクジが嫌がる苦味)に1分さらすことできゅうりジュースとキニジン硫酸水溶液の間の一次条件付け(CS2-US)をした結果、にんじんジュースの匂い(CS1)も避けるようになった、つまりにんじんジュースの匂い(CS1)もキニジン硫酸水溶液(US)と紐付けられた([16])。
⑤ 消去(extinction)([8])
条件刺激(CS)が無条件刺激(US)と組合わされなくなることで、条件反射(CR)が徐々に弱まり、最終的には消失する現象。パブロフの実験では、ベルの音(CS)を鳴らしても食べ物(US)を与えなくなると、犬は次第に唾液を分泌(CR)しなくなることが観察された。
・マダラコウラナメクジ(Limax maximus):[8]
⑥ 潜在制止(latent inhibition)([9])
無条件刺激(US)とペアリングされる前に、条件刺激(CS)が繰り返し単独で提示されると、その後の条件付けが遅れる、または弱まる現象。ざっくり言えば、条件刺激が事前に無意味だと認識され、その刺激が無条件刺激と結びついたときでも、学習が起こりにくくなること。例えば犬だと、ベルの音(CS)が何度も聞かされても何も起こらなかった場合、後にベルの音(CS)と食べ物(US)が関連付けられても、犬は(それ以前にその音が「重要でない」と認識されている故に)すぐにベルの音(CS)に対して反応(条件反射CR)を示さないこと。
・ヒメリンゴマイマイ(Helix aspersa):りんごの匂い単独を10分間嗅がせることを6日間続けた後に、りんごの匂い(条件刺激CS)がする時ににんじん(無条件刺激US)が得られるという条件付けをされた個体は、(りんごの匂いを嗅がせず)梨の匂い単独を10分間嗅がせることを6日間続けた後に同じ条件付けをした個体よりも、りんごの匂い(CS)に対する触覚を下げるという反応(条件反射CR)が一貫して鈍かった([9])。りんごの匂い(CS)だけがして何も起こらないという先行する経験が、りんごの匂い(CS)がするとにんじんが得られる(US)という条件付け学習を遅らせたと言える。
⑦ 隠蔽(overshadowing)([9])
二つ以上の条件刺激が同時に提示された場合、一方の刺激が他の刺激の条件付けを妨げる現象。例えば犬だと、強い光(CS1)と弱い音(CS2)を同時に提示して食べ物(US)を与えた時、犬が光(CS1)に対しては強く唾液分泌(CR)して音(CS2)に対してはほとんど唾液分泌(CR)を示さないこと。光が音を「隠蔽」し、音に対する条件付けが十分に行われなかったと解釈される。
・ヒメリンゴマイマイ(Helix aspersa):りんごの匂い(条件刺激CS1)と梨の匂い(条件刺激CS2)とにんじん(無条件刺激US)とを同時に与える条件付けの後に、りんごの匂い(CS1)のみを与えた時の触覚を下げる動作(条件反射CR)は、りんごの匂い(CS1)単独とにんじん(US)との条件付け、梨の匂い(CS2)単独とにんじん(US)との条件付けをそれぞれ行った場合のC1に対するCRよりも、鈍かった。りんごの匂い(C1)とにんじん(US)とを紐付ける学習が、条件付けの際に同時に梨の匂い(CS2)も混ざることで、弱められたと言える。
⑧ 条件抑制(conditioned inhibition)([11])
特定の条件刺激(CS)が無条件刺激(US)の出現を予測しないことを学習し、その刺激(CS)が反応(CR)を抑制する現象。例えば犬だと、光(CS1)が食べ物(US)を予測させ唾液分泌(CR)を起こすが、ベルの音(CS2)が食べ物(US)が来ないことを示す場合、音が光に対する唾液分泌(CR)を抑制すること。
・ヒメリンゴマイマイ(Helix aspersa):
りんごの匂い(条件刺激CS1)のみがすれば餌(にんじん:無条件刺激US)にありつけ、りんごの匂い(CS1)と西洋梨の匂い(条件刺激CS2)両方が同時にすれば餌(無条件刺激US)にありつけない、という状況が繰り返された時、西洋梨の匂い(CS2)を餌(US)が来ないことを予想させるものとして学習する([11])。
以上のような行動は脊椎動物、それも哺乳類でよく知られたものです。先にも述べた通り、かの「パブロフの犬」も、この様な条件付けられた刺激に対する反応(条件反射)の実験を、生理学者イワン・パブロフが犬で行った(パブロフの実験は主に一次条件付けを意図したものであったが消去や条件抑制に相当する現象も観察している)ことに由来する言葉です。パブロフが犬の条件反射として取り上げたのはよだれを垂らすという反応でしたが、陸貝の場合はこれが触覚を垂らす(下げる;tentacle lowering)等となります。
また、陸貝の葛藤とも言える行動も観察されています。チャコウラナメクジを明るい光に曝せば暗い場所へ避難しようとしますが、暗い所へ入ろうとする時にキニジン硫酸水溶液を吹きかけ嫌がらせた所、翌日以降、明るい光に曝した時に同じ暗い場所へ行くのに掛かる時間が長くなり、明るい所に居たくないがかといって暗い場所に入ると痛い目に遭う、と迷っているとも言えるのです([2])。別の観察では、暗い場所の奥に有る野菜ジュースを食べようとした瞬間にキニジン硫酸水溶液を吹きかけると、それ以降、暗い場所へ入ることも躊躇し、暗い所へ少し入ってみてまた明るい場所へ戻ってきたりと行ったり来たりする、葛藤とも言える行動が示されています([2])。
草食動物である(殆どの)陸貝ですが、移動能力の制限故に特定の植物を食すのでは生存出来ず、多様な植物を食べなければなりません。しかし勿論あらゆる植物が食べて無害ということはありません。苦味や毒味等の植物の化学防御が有る中で、摂食活動の最適化機構の一つとして、陸貝は、苦味や毒味と植物の臭いとを結び付ける連合学習(associative learning)を発達させたと考えられます。
前編でも述べた通り、陸貝の脳は、脊椎動物との脳とは系統発生的に無関係(相同ではない)です。またそんな陸貝の脳は、ニューロン(神経細胞)の数が数十万個とヒト(数百億個)の10万分の1程度と哺乳類よりも「単純」なのでした。もしここで見た学習を司るのがその脳であるならば、私たち哺乳類のような学習能力を獲得するにはなにも私たち哺乳類のような大脳等の構造を持つ「複雑な」ものであることは必然でもなく、私たちの脳は学習を発達させる唯一究極でもなく高が一つの結果として残された単なる一つの形に過ぎない、と思えるのです。
私たち人間は、「思考」や「葛藤」、「学習」、「理解」というと、自分の「内側」に特定の「感じ」がしたりといった、自分に何らかの「観念」が「入力」される現象と捉えがちです。「内側」や「心」と呼ばれる所で起こる現象だと、行動という「出力」以前か無関係かに、どのように「入力」されるかの現象だと、思いがちです。しかしそうでしょうか。少なくともそうであることは必要ではないと、例えばウィトゲンシュタイン等は述べます(例えば[17])。陸貝の「思考」等々に就て考えると、よりそう思えてきます。何度も言った通り、陸貝の神経系、延いては「思考」や「学習」といった情報処理は、私たちとは独立の系統発生を経て獲得されたものであるからです。そして、自然選択に関わるのは行動という「出力」のみであって、「入力」は「出力」を介する形でしか進化と関係しません。「理解の正しさ」であったりを私たちは「正しい観念を得たか」というような「感覚入力の正しさ」で評価しがちですが、情報処理の本質は感覚入力にあるのではない、寧ろ如何なる行動が出力されたかで評価される、ということを陸貝の学習理論は示唆します。
「曖昧で冗長な感覚入力であっても,その処理の結果誘導される特定の行動で評価されることによって適応的に定義できるということである。」([15])
ユクスキュルの「環世界」を思い出すと、こちらも、「ダニの捉える世界はどんなものか」「カタツムリは時間をどう感じるのか」といった感覚入力に軸を置いた話でしたが、「環世界」というこれらの問いの立て方そのものに疑いを向けるべきかも知れないと思えてきます。進化(自然選択では出力のみが問題になる)的に無関係なのに入力周りを同一に論じるのが、そもそも同じ言葉を用いるのが、恣意的なのは明らかであり、ユクスキュルの問いもその問い方自体が同様の意味で恣意的に思えるのです。「環世界」というものや「機械の操作系」を措定せずとも、機能さえ出力されれば生物が生物たるには十分だ、というのが進化論という考え方とも言えるかも知れません。
へぇ☆☆☆☆☆☆☆「動物の行動の起源!?」
さて、以上は学習や思考といったものを経た行動決定に就てでしたが、ヒト同様、もちろん行動すべてが学習や思考を経て行われるのではなく、別の本能的な行動決定機構が土台に有るはずです。そうした「無意識的な」行動にもおもしろい話題があります。その一つがレヴィウォーク(Lévy walk)という話題です。
数学に於いて、直後に進む方向や距離が無作為に決定されるような運動はランダムウォーク(random walk)と呼ばれます。酔歩や乱歩といった別名を持ちます。特に、ランダムウォークの一種であるレヴィウォーク(Lévy walk)は、細胞から昆虫、魚、鳥、人を含む哺乳類にまで共通して見られることが報告されています。ダンゴムシ(https://eco.kyoto-u.ac.jp/?p=9126 )でも([18])。それほど生物の行動に現れる理由として従来言われてきたのが、レヴィウォークが餌を探したりする探索効率を或種最適化する移動様式であるために、自然選択の結果として生物はレヴィウォークを行うという主張で、この主張はレヴィフライト採餌仮説(Lévy flight foraging hypothesis)と呼ばれます。しかし、近年この仮説に疑念が持たれ、修正が迫られています。
陸貝はレヴィウォークとほぼ同じ(区別はあまりされていない)ランダムウォークであるワイエルシュトラスのレヴィウォーク(Weierstrassian Lévy walk)をすると明らかになっています([19])が、なんとこのワイエルシュトラスのレヴィウォークは、這行運動(這うこと)から自然に導かれる副産物であって、少なくとも陸貝に関しては、探索戦略としての利点や自然選択にまで話を帰着させる必要は無いと、数理モデルで示した研究[20]もあるのです。この研究は陸貝をはじめとする巻貝を念頭に置いたもので、その数理モデルは、前編の歩き方の説明でも少し触れた質点をバネで繋いだ質点系の最も単純な場合、つまり二つの質点をバネで繋いだだけで収縮伸長を周期的に繰り返すというモデルです。
人が歩くのを想像して下さい。人は歩くとき周期的に左右の脚を入れ替えますが、無意識であって周期的にやろうなんて意識はしていませんし、次の一歩をどこに置くかも無意識に瞬時に判断されますよね。これは、中枢内パターン生成器(central pattern generator; CPG)と呼ばれる神経回路網が、脳から信号入力等に依らずに運動パターンを生むからだとされています。CPGは複数の神経回路の組合せとして記述されます。ショウジョウバエの幼虫では腹部と胸部との神経回路が主な構成要素とされています([21])。CPGを構成する神経回路活動同士の相互作用が、弱いと神経回路個々が各々好き勝手な振る舞いをするのに伴って運動もカオス(ブラウン運動)になり、強いと神経回路同士が同調して運動も直線的となり、そしてその中間、CPGが秩序と無秩序の境界つまり臨界点にあるとき、時折直線的な運動を見せるランダムウォークであるレヴィウォークとなる、という数理モデルによる研究[22]もあります。神経回路同士の結合の強さというたった一つの1次元のパラメータの値で、局所的な探索に向いたブラウン運動か、逃避行動や目的地が有る時の移動に向いた直線運動か、そしてレヴィウォークかが決定され、また臨界点であることには情報処理などに関する利点やブラウン運動か直線運動か状況に応じてどちらにもスイッチが容易なことなどの利点があると言われます。ここにも効率的な探索という面とは直接には無関係な利点がレヴィウォークの起源として持ち上がるのです。更に、陸貝を含む這う動物に関しては、レヴィウォークはより純粋に生体力学的機構に起因するのであって、CPG等の話すら必要ないかも知れないとさえ言われています([20])。這うことは脚を使った歩行よりもより原始的と考えられます(丁度つい最近2024/11/6、最初の陸上進出は軟体動物だったのではという論文が発表されました[27])から、私たちのレヴィウォークの起源も純粋に生体力学的な所にあるのかも知れません。
何れにせよ、レヴィフライト採餌仮説は棄却または修正を余儀なくされ、新たな仮説、自由レヴィフライト仮説(free Lévy flight hypothesis)が提唱されています([23]):
レヴィウォークは、生得的な行動や環境に対する平凡無益無害な反応から、自発的に自然に自由に出現するものであり、もし有利であれば出現以降それを失わないように選択される可能性がある。(“Lévy flights emerge spontaneously, naturally, and freely from innate behaviors and banal, innocuous responses to the environment and, if advantageous, then there could be subsequent selection against losing them.” [23])
かなり壮大な前適応と言えるでしょうか…(??)
陸貝からは横道に逸れ過ぎた感も有りますが、身近な這って動く生き物と言えば、陸貝かミミズかヒルか…限られているので、ここぞとばかりに長々と書いてしまいました。陸貝の行動、這うという運動の裏には、私たちを含むあらゆる動物の行動の不思議、壮大な進化の不思議が見え隠れするのです。今度陸貝を見た時はその動きをまじまじと見てしまいそうですね。
いかがでしたか??「こんなに面白いなんて!」と驚きましたか?
そして不思議でいっぱいでした。この不思議は自然科学にとどまらず、「意識」「意志」「思考」「学習」「自己」「時間」「行動」…等々といった人類にとって普遍的なテーマに関する哲学にまで拡がるものです。陸貝を見かけたら立ち止まってこの世界や自己に関しても思いを巡らせてみませんか?
陸貝の行動には、壮大で無際限な不思議が秘められていた。
前編後編と長くなってしまいましが、最後まで読んでいただきありがとうございます。陸貝(カタツムリやナメクジ)のこと、知ってるつもりになっていませんでしたか?こんな身近で「地味な」生き物に、「下等」生物に、こんなに知的好奇心をそそる話題が一つではなく沢山眠っていたなんて、そう不知を自覚した時、自分の中でささいなパラダイムシフトが起こるような興奮が沸き起こったのではないかと、その感覚を共有できたのではないかと、期待します。
陸貝を知ることは無知の知、不知の自覚。
この20年という間で、筆者(2000年生まれ)の感覚でも、カタツムリを見かけなくなっているという気がします。子供心を失ってしまったこともあるかも知れませんが、実際、近畿地方では、約200種いる陸貝の内、半数の約100種に絶滅の恐れがあるとも言われていて([24])、様々な要因の内、減少の一つの大きな要因として乾燥化があると言われています。公園などで落ち葉や朽木を除去したりすることが実は陸貝の避難場所となる湿った環境を破壊することとなってしまうと言われていて、「環境整備」と「環境破壊」が紙一重なのだと考えさせられます。
落ち葉には、陸貝に限らず、あらゆる動物が何らかの形で依存しているため、「落ち葉を残そう」キャンペーン(#LeaveTheLeaves)などが米国を中心に呼び掛けられています([25],[26])。
参考文献
[1] 佐々木猛智『貝類学』東京大学出版,2010.
[2] 松尾亮太『考えるナメクジ』さくら舎,2020.
[3] 野島智司『カタツムリの謎 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』誠文堂新光社,2015.
[4] 桜井雄太・森隆久,2016 梅雨の風物詩「カタツムリがアジサイに付いている」は本当か? 陸産貝類による植物選択頻度と植物被度との比較. 帝京科学大学紀要, 12, 11-15.
[5] J. IGLESIAS, J. CASTILLEJO, FIELD OBSERVATIONS ON FEEDING OF THE LAND SNAIL HELIX ASPERSA MÜLLER, Journal of Molluscan Studies, Volume 65, Issue 4, November 1999, Pages 411–423, https://doi.org/10.1093/mollus/65.4.411
[6] Jakob von Uexküll (Translated by Joseph D. O’Neil), A Foray into the Worlds of Animals and Humans with A Theory of Meaning, U of Minnesota Press, ISBN: 9780816659005, November 1st, 2010. (原書:Streifzüge durch die Umwelten von Tieren und Menschen: Ein Bilderbuch unsichtbarer Welten, 1933;和訳:日高敏隆・羽田節子 訳『生物から見た世界』岩波書店,2005.)
[7] Alan Gelperin ,Rapid Food-Aversion Learning by a Terrestrial Mollusk. Science189, 567-570(1975). DOI:10.1126/science.1145215
https://www.science.org/doi/10.1126/science.1145215
[8] Gelperin, A., Hopfield, J.J., Tank, D.W. (1985). The Logic of Limax Learning. In: Selverston, A.I. (eds) Model Neural Networks and Behavior. Springer, Boston, MA. https://doi.org/10.1007/978-1-4757-5858-0_13
[9] Loy, I., Fernández, V. & Acebes, F. Conditioning of tentacle lowering in the snail (Helix aspersa): Acquisition, latent inhibition, overshadowing, second-order conditioning, and sensory preconditioning. Learning & Behavior 34, 305–314 (2006). https://doi.org/10.3758/BF03192885
[10] Acebes, F., Solar, P., Carnero, S., & Loy, I. (2009). Blocking of conditioning of tentacle lowering in the snail (Helix aspersa). Quarterly Journal of Experimental Psychology, 62(7), 1315-1327. https://doi.org/10.1080/17470210802483545
[11] Acebes, F., Solar, P., Moris, J. et al. Associative learning phenomena in the snail (Helix aspersa): Conditioned inhibition. Learn Behav 40, 34–41 (2012). https://doi.org/10.3758/s13420-011-0042-6
[12] Sahley, C., Rudy, J.W. & Gelperin, A. An analysis of associative learning in a terrestrial mollusc. J. Comp. Physiol. 144, 1–8 (1981). https://doi.org/10.1007/BF00612791
[13] Sahley, C.L., Martin, K.A. & Gelperin, A. Analysis of associative learning in the terrestrial mollusc Limax maximus. II. Appetitive learning. J Comp Physiol A 167, 339–345 (1990). https://doi.org/10.1007/BF00192569
[14] Jose Prados, Beatriz Alvarez, Félix Acebes, Ignacio Loy, Joan Sansa, Maria Manuela Moreno-Fernández, Blocking in rats, humans and snails using a within-subjects design, Behavioural Processes, Volume 100, 2013, Pages 23-31, ISSN 0376-6357, https://doi.org/10.1016/j.beproc.2013.07.014.
[15] 木村 哲也, ナメクジと学習, 比較生理生化学, 2001, 18 巻, 2 号, p. 82-85, 公開日 2011/03/14, Online ISSN 1881-9346, Print ISSN 0916-3786, https://doi.org/10.3330/hikakuseiriseika.18.82
[16] Suzuki H, Sekiguchi T, Yamada A, Mizukami A. 1994. Sensory preconditioning in the terrestrial mollusc, Limax flavus. Zool Sci 11: 121 – 125.
https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F10860764&contentNo=1
[17] ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン(大森荘蔵訳)『青色本』ちくま学芸文庫, 2010.
[18] 平井 颯, 栗林 亮輔, 内海 英夏, 正角 隆治, 森山 徹, 篠原 修二, ダンゴムシの歩行データに見られるレヴィーウォークと時間依存性, 人工知能学会全国大会論文集, 2024, JSAI2024 巻, 第38回 (2024), セッションID 3Xin2-101, p. 3Xin2101, 公開日 2024/06/11, Online ISSN 2758-7347, https://doi.org/10.11517/pjsai.JSAI2024.0_3Xin2101 , https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2024/0/JSAI2024_3Xin2101/_article/-char/ja
[19] A.M. Reynolds, G. Santini, G. Chelazzi, S. Focardi, The Weierstrassian movement patterns of snails. Roy. Soc. Open Sci. 4, 160941 (2017). https://doi.org/10.1098/rsos.160941
[20] Reynolds, A.M. Weierstrassian Lévy walks are a by-product of crawling. Eur. Phys. J. E 44, 96 (2021). https://doi.org/10.1140/epje/s10189-021-00100-2
[21] Berni J. Genetic dissection of a regionally differentiated network for exploratory behavior in Drosophila larvae. Curr Biol. 2015 May 18;25(10):1319-26. doi: 10.1016/j.cub.2015.03.023. Epub 2015 May 7.
[22] Masato S. Abe, “Functional advantages of Lévy walks emerging near a critical point”, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, https://doi.org/10.1073/pnas.2001548117
[23] Andy Reynolds, Liberating Lévy walk research from the shackles of optimal foraging, Physics of Life Reviews, Volume 14, 2015, Pages 59-83, ISSN 1571-0645, https://doi.org/10.1016/j.plrev.2015.03.002.
[24] 「カタツムリ、どこへ? 近畿では半数が絶滅危機―市街地化や乾燥原因と識者」時事通信,2024年07月13日13時34分配信 https://www.jiji.com/jc/article?k=2024071300122&g=soc (最終閲覧2024/10/5).
[25] 落ち葉掃除が、生物多様性の損失に?野生生物を守る( https://ideasforgood.jp/2024/11/11/us-leavetheleaves-nature/ )
[26] Pledge to Leave the Leaves for wildlife | National Wildlife Federation (https://support.nwf.org/page/74060/petition/1?locale=en-US )
[27] Wang, Z., Davies, N., Liu, A., Minter, N., & Rahman, I. (2024). Identifying signatures of the earliest benthic bulldozers in emergent subaerial conditions during the colonization of land by animals. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 291(2034), Article 20241629. https://doi.org/10.1098/rspb.2024.1629
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